始動⑥〜スライム潰しマスター一也〜

 2週間ほど、朝早くに家を出てスライムを狩り、夕暮れに帰るという生活をしていたら結構なお金が手に入った。


 初日はウサギも入れて1万円に届いたが、それ以降はウサギを狩らずに1万円を超えることができた。

 理由はウサギが重くて解体したとしても、自転車で区役所まで持っていけて2匹分だと判断した。

 解体作業やそれをかごに積むくらいなら、代わりにスライムの核を積み込んだ方が手間にならない。


 今日も区役所へ行き、スライムの核を買い取ってもらった。

 スキルを確認したいため、コンビニで少し値段が高めの詳細が分かるスキルシートを購入してから家に帰る。


「ただいま」


 家に帰ると、母親が駆け足で玄関へやってきた。


「おかえり。荷物をそこにおいて、すぐにリビングに来なさい」


 母親は俺へ急かせるようにそう言うと、リビングへ向かった。

 俺は疲れていたから面倒くさいと思ったが、メイスの入った袋と荷物を玄関の脇に置いて、リビングへ向かう。

 リビングには両親がすでに座っており、その向かいに俺は座った。


 母親が父親をちらちらとみているが、2人とも何も言わない。

 俺が父親の方を見ると、父親は不安そうに俺へ話し始める。


「なにかお金で困っていることでもあるのか? 買えるものだったら買うぞ?」

「いきなりなんなの?」


 特に心当たりがないため、母親へご飯が食べたいと言うと用意を始めてくれた。

 部屋に戻ろうとすると、父親に止められて俺はまだ椅子に座らされている。

 黙っていると、父親が不安そうに話し始めた。


「最近、素材収集課の方でここ毎日いつも同じ時間にスライムの核を10キロ以上持ってくる少年の話で盛り上がっていてな。父さんもどんな少年か気になって、その時間になって買取窓口を見てみたらお前が来ていて驚いたんだ」

「それで?」

「どこであんなに拾ってくるんだ?」

「全部、森でスライムを狩ったんだよ」


 区役所で噂になるくらい狩ってしまっていたようだった。

 普通がどれくらいかわからないが、深刻そうな父親をみると異常な量なんだろう。

 ゲームのときだと素材が拾えなくなるまで狩り続けられたが、現実だと時間が邪魔をする。


 俺が別のことで悩んでいると、父親は勢いよくテーブルを叩いた。

 母親がびくっと体を震わせて、こちらの様子をうかがっている。


「嘘を言うんじゃない! スライムを狩った!? スライムは銃もあまり効かないし、どうやって狩ったんだ!」

「メイスで殴ったよ。もう話は終わり?」


 なんで銃の話がでるのかわからないが、一向に信じてもらえそうにない。

 席を立つと父親がまだ話は終わっていないというが、無視して母親へご飯ができたら呼んでと言い、荷物を回収して部屋に戻る。


 部屋に戻ると、椅子に座ってナイフとスキル鑑定シートを用意した。

 指を切ってシートへ血を垂らすと、スキルが浮き上がってくる。

 結果をみて思わずガッツポーズをしてしまう。


(やっぱり職業の縛りがない! それにスキル1つに3年も必要なかった!)


 改めてそれがわかると、俺は先ほどの会話など忘れて、汚れたメイスを綺麗にしてから物置へしまった。

 目の前には中学校で使うための鋼製の剣が飾ってある。


 明日は中学校の入学ガイダンスだ。


スキル


体力回復力向上Lv10


剣熟練度Lv2


メイス熟練度Lv10

(Lv3) ┣[+ヒールLv3]身体能力向上Lv10

(Lv5) ┣バッシュLv10

(Lv10)┗魔力回復力向上Lv3


ヒールLv10


銃熟練度Lv1


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


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