第4話 闇の世界 アヤの選んだ道
私は親に黙って一人で出てきた。
暗い夜道でも進んでいるかのような、目の前に広がる私しか見る事が出来ない世界。
盲目の私は専用の杖をついて、ゆっくりと進んでいく…。
誰の支えも受けずに歩くことは出来ないから、仕方なく途中でタクシーという乗り物に乗ろう。
車と言われてもどんな形なのかわからないけど、お母さんと一緒に何度も乗ったことあるから大丈夫。
お母さんと同じようにすれば良いだけ。
見えないからすごく難しいけど、タクシーがある所へ行って、タクシーに乗りたいと言えば良いだけ…それだけでいい。
そういえば、乗る時に切符というものを買うんだっけ?わからないや、とりあえずお金なら持ってきたから大丈夫。
親切な人が私に声をかけてきたけど、私は断って一人で歩く。
この道はお母さんと出かける時に、良く歩いたから分かる。
目が見えなくても、私だけが分かる方法で歩いて行く…。
そうすれば、タクシーのある所へ必ず付くから…。
私の人生には、つねにお母さんが傍にいた。
なにをするにも、お母さんの支えが必要だった。
お父さんが加わる時もある。
だけど、もう、支えはいらない。
いつまでも両親の傍にいるのは嫌だ。
だって、目が見えないからって、色々と言葉で伝えてくれるけど、私が知りたい、本当の事はいつまでたっても分からないんだもの…。
だから私は、大好きな暗黒色の世界へ行くの。
導かれるように、ふとそこへ行きたいと思ったから。
私は、その世界へ行ける希望を胸に抱き、今、一人で歩いている…。
待ってて、私の仲間達、必ずその場所へ行くからね…。
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