猫の手体験
武海 進
猫の手体験
意識を電脳世界に飛ばしてプレイするゲームが全盛期を迎えた時代、一時は現実では体験できない血生臭いゲームが流行ったのだが、あまりにリアルな感覚のせいで心が病んでしまう人間が続出してしまい社会問題にまでなってしまった。
このままこのスタイルのゲームは消え去ってしまうかと思われていたのだが、血生臭いのがダメならば癒しになる物や変わった体験をできるゲームならどうだとばかりに色々なゲーム会社が一斉にそういった類のゲームをリリースした。
ゲーム会社の狙いは見事に当たり、売り上げが低迷して瀕死だったゲーム業界は息を吹き返した。
中でも流行ったのが、動物の体の一部を借りて自分の体と入れ替えるというゲーム、アニマルチェンジというゲームで、例えば鳥の翼を借りて腕と入れ替えて空を飛んだり、チーターの足を借りて人間では到底出せないスピードで走ったりと、もし自分の体の一部がこんな風だったら、というもしもを体験することが出来るという変わったゲームだ。
仕事のストレスから癒しを求めた俺はこのゲームを起動すると、大好きな猫の手を借りてみることにした。
自分の手が猫のものなるというのはなかなか衝撃的な感覚だった。
人間の手に合わせて大きくなった猫の手の手のひらを見てみると、そこには巨大な肉球がついていた。
昔から猫の肉球が大好きな俺は、思う存分プニプニとした肉球の感触を楽しみたいと思っていた。
夢を叶えるために俺は自分の猫の手に顔を突っ込む。
「あ〜、幸せ〜」
猫の手を借りたお陰で俺のストレスは解消され、また仕事を頑張ることができた。
猫の手体験 武海 進 @shin_takeumi
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