君は眩しいから目を瞑る、君は眩しいから目を逸らさない

夕凪夕

太陽と陰

 隅田と言います、17歳です、陰キャです。絶賛、クラスのマドンナ的存在の陽毬さんと交際中です。清楚で爽やか、笑顔が眩しい、例えるなら太陽のような陽毬さん。クラスの陽キャ達は僕達の交際を知らずに、陽毬さんに告白しては玉砕しています。


 どうして僕が陽毬さんとお付き合いできているのかはわかりません。どうせ僕なんかって気持ちは捨てられなかったけど、このままモヤモヤして生活するくらいなら告ってフラれてスッキリしよう!と思っていた矢先、なぜか陽毬さんの方から告白をされてしまいました。


もう一度言いますが、陽毬さんは太陽のような人です。彼女が輝いている時、僕は教室の隅で目立たないように隠れています。仕方ないですよね、僕みたいな陰キャは、太陽を見たら眩しくて影になって目を瞑ってしまいますよね。だって本当は釣り合わないし、僕なんかと付き合っていることがバレたら陽毬さんが笑われちゃうし!


 けど僕がそう言うと、陽毬さんは僕に言ってくれるんです。


 「眩しいから目を瞑るのは間違いだよ」


って。カッコいいです、陽毬さん。そんなこと言われたら惚れ直しちゃいますよ。







 陽毬です、17歳です。クラスメイトの隅田君と交際をしています。私はクラスでは太陽のような人なんて言われてるけど、実際はそんなこと全然無くて…。本当は人見知りだし全然明るくはないんです。

 

 私が初めて隅田君を知ったのは高校1年の夏。彼は持久走のビリを真剣に必死に走っていて、何だかそれが面白くて、授業中なのに窓からそのグラウンドへ目が離せませんでした。それからずっと陰から隅田君を見ていて…彼の頑張る姿に惹かれて、いつしか恋心になっていました。高二でクラスが一緒になった時は運命を感じました。それで私から告白したんです。


 もう一度言いますが、私は太陽のような人ではありません。私が生き生きしていられるのは、隅田君のお陰なんです。振り向いて欲しくて勉強も運動も頑張ったし、髪型だって変えたし。隅田君は釣り合わないなんて言うけど、私は君と付き合えて本当に毎日が楽しいんです。隅田君の方が輝いて見えます。


 だから私は、いつも自分を卑屈に思っている隅田君にこう言ってあげるんです。


 「眩しいから目を瞑るのは間違いだよ」


って。なぜなら、私はあの一目惚れした夏の日からずっと、眩しい君から目を逸らしたりしていないんですよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君は眩しいから目を瞑る、君は眩しいから目を逸らさない 夕凪夕 @yunagi_yu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ