第28話、Dクラス

 入学式が終わり、レイたちと別れそれぞれの教室へ。

 俺はDクラス教室へ。教室に入ると注目された。


「あれ、試験で……」「バケモノ……」「なんでDクラスに」

 

 ヒソヒソ声が聞こえる。

 なんだかやりにくいな。一応、同じクラスなんだしある程度は仲良くしたい。

 席は自由らしいので、適当に窓際へ座った。

 今日の予定は学園紹介と案内。授業は明日からだ。

 のんびりしていると、俺の前と隣に男子生徒が座る。一人は逆立った髪に三白眼の、もうひとりはダボダボの制服を着た女の子みたいな男の子だ。


「よぉ、お前、私見で聖岩ブチ壊したヤツだよな」

「ああ」

「あれ、どうやったんだ?」

「普通に殴っただけだ。俺が最後だったし、聖岩が傷んでたんだろ」

「ふーん」

「ちょ、ちょっとレノ、いきなり喧嘩腰で話しちゃダメだよ! ごめん、きみと話をしてみたくてさ」

「別にいいけど」

「あ、自己紹介! ぼくはサリオ。こっちの三白眼はレノ。よろしくね」

「俺はリュウキ。よろしく」


 レノは軽く手を上げ、サリオはにっこり笑った。

 不思議と嫌は感じはしない。

 サリオは俺に質問してきた。


「ね、もしかしてだけど、リュウキくんはユニークスキルを持ってるの?」


 俺に関する質問は答えにくい。

 さり気なく、質問に答えつつ話題を変えることにした。


「いや、スキルは持ってない。なあ、スキルって買えるんだよな。どこで買うんだ?」

「ンなモン、スキル屋に決まってんだろ。学園にもあるぞ?」

「学園にも? へぇ、気になるな」

「それなら、放課後行ってみる?」


 放課後か。

 レイやアピアとは特に約束してないし、あっちも自分のクラスメイトと親交を深めるだろう。


「じゃあ、行ってみようかな。サリオ、場所は?」

「購買部のスキル屋さんだよ。案内してあげるね……レノ、きみも一緒に行くかい?」

「あー、そうだな。もうすぐ16になるし、どんなスキル宿すか見ておくのも悪かねぇ」


 と、ここでサリオが耳打ち。


「レノ、聖岩を壊したきみの拳に興味津々なんだ、レノも格闘技で戦うからさ」

「そうなのか?」

「さ、サリオてめえ!! 余計なこと言ってんじゃねえぞ!!」


 レノ、なんか憎めないやつ。ちょっと可愛いと思ってしまった。

 ほっこりした笑みをサリオと共にレノへ向けていると、予鈴が鳴り、教師が入ってきた。

 入ってきたのは、瓶底メガネにシワだらけの白衣、ボサボサの髪の男性だ。


「え~~、はじめまして。このDクラスの担任となりました、ホスホルと申します。まず今日は、この学園について説明しようと思います。その後は軽めの自己紹介、午後は学園散策で終わります~」


 なんともやる気のなさそうな教師だった。頭をポリポリ掻くすが田が何とも言えない。


「チッ……クラスだから、教師も適当ってか」

「?」


 レノがボソッと呟いた。


 ◇◇◇◇◇


 一日の流れは、座学が四時間、お昼、午後の授業は部門に分かれての授業となる。

 座学はその名の通り、教室での勉強。

 午後は部門ごとの授業だ。

 冒険者部門、戦闘部門、魔法部門、専門スキル部門など、細かな部門が多くある。

 部門の数は三十を超える。この中から最高5つまでの部門を選び、カリキュラムを組む。

 すごい、めちゃくちゃワクワクしてきた。

 配られた用紙には部門の名前が書かれている。クラスメイトたちが興奮してるのがわかった。


「オレ、冒険者部門だな」

「あたしは魔法スキル取るから魔法部門。攻撃魔法部門、補助魔法部門もあるし。あー、悩む」

「おれは鍛冶師になりたいから鍛冶部門を選ぶ! あとは筋力トレーニング部門かな」


 ちょっと待て、聞き捨てならないのが聞こえた。 

 レノ、サリオが俺の方へ向く。


「リュウキくん、どの部門を選ぶ?」

「筋トレ部門は確定だ!!」

「奇遇だな、オレもだぜ」


 俺は無言でレノと拳を合わせた。

 なぜかサリオが引いてるけど気にしない。


「サリオは?」

「ぼくは支援魔法部門かな。回復魔法部門も。ぼく、魔力は多いけど度胸ないし、後方で支援とか向いてるって、冒険者の姉さんに言われたから」

「ちなみに、サリオは一学年最高の魔力保持者だぜ」

「え、そうなのか?」

「ま、まあ……」


 そういえば、試験中に話題になったような。

 キルトたちのことで頭いっぱいで、他のことあまり気にしてなかった。

 ちなみに、キルトの魔力量は35000で、サリオはなんと58000らしい。

 魔力は多いが、攻撃力判定が最低レベルだったそうだ。

 サリオは話題を変える。恥ずかしいようだ。


「午後、学園散策でいろいろ見て回ろうよ」


 部門ごとの学習か。どんな部門にしようかな?

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