第12話、スキル
コボルト討伐、オーガ討伐の依頼を受けた。
コボルトは、街道沿いに現れ馬車を襲うらしい。レイと二人で城下町を出て、コボルトが出現する街道に向かって歩く。
歩きながら、レイは教えてくれた。
「まさか、スキルを知らない冒険者がいるなんてね」
「す、すまん……」
「ま、いいわ。先輩が教えてあげる」
レイは、自信たっぷりに答えてくれた。
「スキルっていうのは、その名の通り『技』ね。スキルはある程度ならギルドで買えるわ」
「買える!? スキル、買えるのか!?」
「ええ。初級剣術、初級火魔法とかね。でも、スキルレベルは1だし、レベルを上げるのに数年かかるわ。最初からレベルの高いスキルを買えればいいんだけど、普通の冒険者じゃ手が出ないわね」
「買えるのか……」
「それと、生まれつき宿しているスキル……『ユニークスキル』っていうのもあるわ。あたしも一つ、ユニークスキルを宿している」
「おお、すごいな」
「まぁね。あ、そうそう……スキルを買ったり宿したりできるのは十六歳からよ。あたしはまだ十五歳だからユニークスキルしか使えないけど、十六になったら『魔法系』のスキルを買って、魔法を使うわ」
「魔法スキル……」
「あと、全てのスキルは魔力を消費して発動する。魔力値が低いと、消費魔力が多いスキルを買っても使えないわ。魔力値はギルドで測れるから、依頼を達成した後に確認したら?」
「ふむふむ」
僕はメモを取る。すると、レイが笑った。
「め、メモって……あなた、真面目ねぇ」
「そうかな。っと……この辺か」
「ええ、着いたわ」
話しながら歩いていると、コボルトが出るという街道付近に到着した。
レイはしゃがみ、地面を確認する。
「足跡……間違いないわね」
「さて、待つか」
「馬鹿ね。待ってたら日が暮れる」
そして、魔導バッグから小さな肉片のようなものを取り出し、投げる。
「それは?」
「撒き餌……ほら、もう来た」
「!!」
『ゴゥルルルルルル……!!』
現れたのは、身長150センチくらいの二足歩行の犬、コボルトだ。
手には棍棒を持っており、よだれをダラダラ垂らしている。
知性は低そうだ。
「じゃ、お手並み拝見」
「ああ」
僕は剣を抜いて逆手に構える。
「……変わった構え方ね」
「こっちのが持ちやすくて。指導してくれた先生の真似だけどね」
態勢を低くし、身体強化。
「……え!?」
「行くぞ!!」
地面が爆ぜた。
剣を振ると、衝撃波が発生。剣が触れる前にコボルト数体が両断された。
僕は急ブレーキをかけ跳躍。残ったコボルトのど真ん中に着地……したと思ったら、地面が爆発し、コボルトが十メートル以上吹き飛んだ。コボルトは動かない……死んだようだ。
「終わった……ふぅ」
「ふぅ、じゃない!! な、何よ今のアホみたいな魔力量は!?」
「だいぶ抑えたんだけどな……」
「あ、あなた……おかしい。今の魔力量、あたしの数倍、数十倍……」
エンシェントドラゴンの闘気、コントロールが難しいな。
今は振り回されているけど、ちゃんと使いこなさないと。
それには、スキルが必要かもしれない。
「こほん。ま、まぁいいわ……というか、剣は必要なかったかもね」
「……確かに」
衝撃波でコボルトは両断されたからな。
それに、着地の衝撃でコボルトは吹っ飛んだ。
これなら、殴るだけでよかったかもな。
「さ、討伐の証を取ったらギルドに報告ね」
「えーっと、牙だっけ」
「そう。コボルトの牙、いい値段になるわよ」
「やった」
僕はさっそく牙を集めた。
レイも手伝ってくれる。
「……ね、もしよかったらだけど。オーガ退治、来る?」
「行く!!」
さて、次はオーガ退治だ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます