第4話 夏

 この頃には、学校にいく気力すらもなくなっていた。四六時中、腹痛やら吐き気やら病気による症状が続いている。


 そんな日々が続くなか、楓は一週間に二度、私の家へ来てくれる。今までは、私が行くこともあったけれど、そんな力がなくなってからは、楓が学校であったこと、課題、とか色々なことを話しにたくさん訪れるようになった。だから、きついのも乗り越えられるくらいハッピーな日々が続いている。



 僕は、遥花が出した課題を調べること、そして、遥花が言った約束も守っている。そして、調査に進展があった。でも、その事実は彼にとって、受け入れがたかった。

それは、

[この力を持つ者は、二十歳までいきられない]

という事実だ。

 調査するに当たって、これまで10人以上の同じ力をもつ人を見つけたが、どの人も、亡くなってしまっているか、もうすぐ亡くなってしまうかだ。それは、いくら元気な人でも。

 でも、そうすると僕の父はどうなる?僕の父も未来が見えるんじゃないのか?僕は慌てて父に聞いた。

「父さん、父さんも未来が見えるんでしょ。」

父は答えた。

「私は、15の時未来を見ることができなくなった。どちらかというと、未来を見る力を捨てたくなって捨てたというかな。」

「力を捨てることができるの?」

「ああ、でも、それを叶えるためにたくさんのものを犠牲にした。」

「教えてほしい。その方法。」


父は間をおいて言った。

「それを、人に伝えてはならない、その約束を守れ。これは、同じDNAで、同じ力を持たないと伝えてはならない。もし、これを破ったら、お前は、苦しみ死ぬぞ。」


 その時は約束を守るつもりで、その方法を僕は聞いた。彼女を助けたいと思った。そして、この力を捨てれば長く生きられる。けれど、それは、運命から逃げている気がしてできなかった。助かる方法はわかったが、彼女が知りたい、"力が授かった理由"がイマイチわからない。早く見つけ出さなければ。


 そんなことを考えているうちに、遥花はどんどん弱っていった。いままでは、家にいれたが、明日から入院だそうだ。遥花は僕がいるときに、なんにも言わなかった。痛いも、苦しいも。けれど、よっぽど辛いんだろう。最近は、僕がいるときでも痛がったり、苦しがったり、、。一番辛いのは彼女だろうけど、見ている側も辛い。そのこともあり、僕は彼女に、"僕も20歳までで死ぬこと"など、伝えられなかった。




 その頃、僕は気づかなかったが、僕の中にも病気が住み着いていたみたいだ。

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