第2話 冬
私は誰かに恋をしているのだろうか。いつも決まった人をみると、身体中熱くなる。例え恋をしていても、告白するつもりも、この気持ちを友達に相談するつもりもない。結局、誰かにいったところで、その人が私を好きになってしまっても、結ばれてはいけない。結ばれたら、お互い辛いだけだから。一応紹介するとすれば、その友達の名前は、楓だ。まあ、何となくわかったかもしれないけど、その、恋している友達っていうのは、もう一人の未来の見える少年だ。
最近、その少年は、距離が近い気がする。私の高鳴った鼓動の音が彼に聞こえてしまう。いくら病弱でも、みんなと同じで心はきちんとある。今は2月。だからもうすぐバレンタインだ。健康な人だったら好きな人に普通にチョコレートをあげられるんだろうなと思うと、切ない、そして悔しい。
今日はバレンタイン。あいにく、病気による発作でたまたま学校は行っていない。他の人がチョコレートをあげるところをみたところで楽しくないし、よかったのかもしれない。発作が起きた影響もあり、明日までとりあえず入院になる。
ー翌日ー
とりあえず今日は退院できたから良かった。家に帰ると、ポストに私宛で一通の手紙が入っていた。封筒の裏をみると『楓』の文字がかかれていた。中身を確認してみようと思い、封筒をちぎった。そうしたら、こうかかれていた。
「1B 影山遥花へ
僕にとって、あなたと話せることが1日のなかでいちばん楽しい時間なんだ。
バレンタイン、外国じゃないしガールの方が渡すよね。だからチョコレートは渡さないけど、ホワイトデーまで待てないから、今日手紙を書いた。
僕は君のことが好きだ。付き合ってほしい。
返事は急がないから、杉野楓」
ハルカはなんともいえない感情に包まれた。どうするのがいったい正解なのだろう。そして、私は、近くのカフェで明日会う約束をし、今日は寝た。
ー翌日ー
「うっ、気持ち悪い。はぁっ、、はっ、、。」
最近これが日常になってきている。そして、今日は特にひどい。せっかく楓と二人っきりで話せるのに。病院からは、1日1回までといわれて症状を緩和する薬を与えられている。なかなかひどいときじゃないと飲まないけど、今日はどうしても飲むしかない。
「お待たせ!」
二人は、カフェにほぼ同時くらいについて、沈黙が続いた。そして、ハルカは、気持ちと反することをずっと言い続けた。でも未来が見える楓には隠せない。そのとき、替えでは私の未来を見てしまった。この後私が泣きながら帰ることを。お腹を押さえて苦しんでいることを。楓は店を出た遥花を引き止めた。
「ちょっと、遥花、まって。隠したって、未来が見える僕には、、僕には、むだだろ。」
「未来を見たの?あなたを好きって私いってたの?そんな、、卑怯な、こと、、。」
私は走り去りたかった。でも、体は、ついてきてくれない。
「僕は君を諦めたくない。君が、僕を嫌いなら、しょうがないけど、そうじゃないんだろ。だったら、、」
「うっ、。うっ、」
私は、しゃがみこんでしまった。
「大丈夫か?すぐそこが僕の家だ。行こう。」
私は、楓ににおぶられ、楓のマンションの一室に連れられた。そして、そのまま楓のベッドに倒れ、少し寝てしまった。
起きたときには既に日が暮れていた。母からの着信もあった。お礼を言って、マンション出ていこうとしたとき、楓が追いかけてきた。
「昼のことだけど、付き合えないなら付き合わなくたっていい。付き合えなくても、君のそばにいたい。」
そして、遥花は一粒の涙をこぼして言った。
「私はもうじきこの世から消えるの。17歳で消える確率が高い。生きられても20歳までだって言われてる。だから、付き合ったところで、別れが辛く苦しくなる。そんなの嫌だ。私は死んじゃうからいい。けど、楓はこの先もずっと、生きていくしかならない。私を忘れられるの?」
いくら頭の良い、楓でも理解するのに時間がかかった。そしてこう言った。
「君は来年にはもういなくなるってこと、、。?そんな、。でも、やっぱりきみのそばにいたい、。」
断りたかった。でも、いいことを思いついた。
「じゃあさ、私の手助けをしてよ。消える前に、<未来が見える力を授かった理由>を知りたいと思ってる。それを一緒に調べてほしい。そしたらいいかな。あと、ひとつ約束して。私がいつ死ぬのかとか見ないでね。終わりがわかってたらつまんないじゃん。」
そして、死ぬまでの短い期間を楓と過ごすことになった。
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