第一章

第1話 秋

 琉斗《りゅうと》、私のクラスのクラスメイトだ。その子も私の仲間で未来が見える。その子の、将来就きたい、というか強制的に私が就職する仕事は医者だ。親から言われていて、未来が見えるからと言う理由で、他の道を選ぶことは許されないらしい。私は、そんなこと言われない。私は17年くらいで人生が終わると言われている。だから、20歳まで生きられたら奇跡と言われている。つまり、未来のない人間ということだ。


 私は、今から16年前に生まれた。誕生してまもなく、私の体に一つ目の欠点があることに医者は気づいた。生まれてから今まで、はじめの病気を見つけた原山先生が私の主治医だ。原山先生とこれまで何度も入院、手術を重ね、なんとか生きてきた体。でも、最近、もう治らない確率の方が高い病気が私の体の中に住み着いてしまったことがわかった。治すといっても、手術をするしかない。その手術の成功する確率は1%、、。そもそもドナーもいない。そんなこんなしているうちに、徐々に私の体はさらに弱っていった。でも、考えてみれば何度も消えそうになった私の体が、今もあることは奇跡中の奇跡だ。

 なんで体の弱い、何もできない私にこんな力が宿ったのか。それを見つけたものは誰もいない。何もできないからこそ、死ぬまでに少しでも多くの人の願いを叶えたい。そして、この力が宿った理由をしりたい。


 琉斗、そして、私はお互いに自分達のことを話していない。でも、琉斗が未来をみることができる力があることをどう知ったかと言うと、何度も何度も、私にその事を言おうとしてためらっている琉斗の未来を見たからだ。


 

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