猫の手は借りたいけど……

市瀬瑛理

「猫の手も借りたい」

『猫の手も借りたい』


 よく聞く言葉だ。


 私はこれまでのKAC2022にはずっと不参加だった。理由は、ちょうど「戦うイケメン」中編コンテストと被っていたからだ。

 後は、お題通りの短編を書ける自信がなかったのもある。


 だが、今回のお題を見た時に「これは書いてみたい!」と思ってしまった。

 家で猫を飼っているからだ。ちなみに猫だけでなく犬もいる。


 ただ、今からストーリーを考えて……とかは正直無理だと思った。実はちゃんとした短編も書いたことがない。

 昔書いていた二次創作がもしかしたら短編だったかもしれない、と当時は文字数でなく、ページ数で数えていたことを思い出したくらいだ。

 ページ数で数えていたのは、入稿の時には必ずページ数を合わせなければならなかったからである。これは印刷所にお願いしたことのある人ならわかると思う。


 まあそんな話は置いておいて、私は今回初めて短編でエッセイを書いてみようと、今こうしてパソコンの前にいる。


 うちの猫はキジ白のオスで、名前を『あお』と言う。私や家族には『あおさん』と呼ばれている。

 

 あおさんは、私が『書斎』と勝手に呼んでいる部屋にはあまり入って来ない。基本的にドアをしっかり閉めて、入って来られないようにしているからだ。

 それでも少し開けた時に、するっと猫特有の身体のこなしで入って来ることはある。

 入って来た時はやはり少し緊張してしまう。パソコンの上に乗られると大変なことになるのが目に見えてわかっているからだ。


 けれど、あおさんが実際にパソコン、いや机の上に乗ってきたことはほんの数回しかない。

 その時は慌ててパソコンを閉じ、あおさんを優しく叱りながら下ろした。


 最初の『猫の手も借りたい』に戻りたいと思う。


 正直、猫の手も借りたい時はよくある。

 日常だけでなく、今もちょっとパソコンの前で抱っこしてタイピングをして欲しいと思っていたりする。


「戦うイケメン」の時はなおさらそう思った。

 だがそれをやってしまうと、コンテストで選考すらしてもらえないだろうと思ってやめておいた。当たり前だ。


『猫の手を借りた結果』、宇宙と交信でもしたかのような、とんでもない作品が出来上がってしまうのだけはどうしても避けたかった。それ以前にこれまで書いてきたデータが消えてしまったら泣くに泣けない。

 だから、私は時間ギリギリまで粘って、きちんとキリのいいところで完結させて投稿したのである。


 ……これはお題の『猫の手を借りた結果』とは少し違う気もするが、まあいいだろう、と自分で思っておくことにする。

 また、パソコンで直接書いているから色々おかしなところもあるだろうが、そこは笑って許してもらいたい。


 ああ、早くあおさんをモフモフしたい。




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