第59話 政治と家族



 目が覚めた時

パステルナークは王妃の間の寝室にいた。


母が生きていた時

妖魔達が少しづつ

徐々に岩山を降り始めてくる前の幼い記憶。


いつも優しい母の元へ

寝室へ忍び込み

母に抱かれて眠る。


そして

必ず父に見つかり

優しく叱られる。


少しの間

三人でお喋りをして

父は出て行く


「おやすみ、可愛いお二人さん」


と言う。


国の民を思う父は

いつも忙しく

風の者達が集めた村や街の情報を聞き

祭司達や側近達を集め会議を開く


時には自ら国を周り

従者達と昼も夜も外で食事を済ませて帰ってくることも少なくはない。


そんな中

たった数分間の

母の寝室での三人

真夜中のお喋りの時間

優しさに満ちたこの時間を

幼いパステルナークは愛していた。

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