第54話 ベルレーヌ



 ポーの三の太刀が入ろうとしている。


「ロルカ、なぜ抜かぬ」


そう言いながらエリオットは床を蹴り

ロルカの元へ跳ねようとするが動けない。


床から現れた妖魔の手がエリオットの脚を掴んでいる。


エリオットはクノーで妖魔の手首を切ろうとするが

その前にポーの手がエリオットに向く。


破岩の構えである。


「これまでか」


とエリオットが呟くとポーの手が握られ拳に変わる。


そして勢いよく開かれた。


その時エリオットは銀色に散らばる光を見る。


「ベルレーヌ」


エリオットは言う。


目の前には銀色に輝く片側一本のツノになった白い鹿が凛として立っている。


ポーの破岩術を受けて砕け散った一本のツノを失ったベルレーヌが立っている。


「エリオット、遅くなりました」


ベルレーヌは

アラゴンやコクトー、エリオット達が討ち漏らした妖魔に阻まれて辿り着いた。


「アラゴンの鹿、お前達を捜索しておくべきであった」


ポーは余裕の笑みを浮かべながら言う。

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