第51話 両親



 ポーを前にしての破邪の剣。


抜かないのではなく抜けないのだ。


「パステルナーク、どうした」


とロルカは問う。


「何をしているロルカ、抜くのだ」


とエリオットが更に叫ぶ。


その間に疾走してきたポーが一の太刀を入れる。


たまらずロルカは飛び跳ねてポーの剣を避ける。


ポーは一撃で相手を倒すつもりである。


やたらと剣を振り回さない。


更にポーは剣を握り直して力を込める。


二の太刀が来る。


「パステルナーク」


ロルカが叫ぶ。


「何か言え」


「ポーの身体の中に我が父と母が居る」


弱々しい声でパステルナークが言う。


「何んだと」


ポーの足が一歩踏み込まれると同時に二の太刀が振り下ろされる。


これも辛うじて避けることが出来たが

ロルカの胸に一筋の太刀傷が新たな切り口として開く。


「二人は生きているのか」


と囁くロルカの問いに


「分からない、分からないから抜いて欲しく無いのだ」


とパステルナークが答える。

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