第50話 ポー、破岩術。
巨大な男の一つ目がエリオットに向く。
「来たか、死に損ない」
そう言うとポーの左手がエリオットに向く。
「見ていろ、ロルカ。これがポーの破岩術だ」
エリオットがそう叫ぶと同時にポーの手が開く。
エリオットは捕まるまいと、床を蹴って宙に舞うが
それを察してポーの手がエリオットを追いかけ
拳が握られる。
空中で静止したままのエリオットに向かって
「今度こそ死ね」
と言い放つとポーの拳が勢いよく開かれる。
空中で爆炎が登る。
とエリオットが爆煙の中から投げ飛ばされたように
後方の壁に激突する。
以前、ロルカがエリオットの前蹴りを受けた時と同じである。
ロルカは地面に激突する前に
念動力で柔らかく頑丈な綿の壁を作ったが
エリオットの壁はそれと違い
頑丈な鋼鉄の盾。
ポーの破岩の波動が届く前に
エリオットは念動力を使ってそれを作った。
そして
その壁ごと吹き飛ばされた。
ポーの破岩波動で吹き飛ばされたエリオットの念動力の壁が破壊され
その破片の一部がエリオットの頬に当たり
口の中を切る。
床に落ちたエリオットは片膝をついて
ポーを睨む。
唇からは一筋の血が流れている。
ポーはエリオットが生きているのかいないのかなど気にせずに
ロルカに向かって大きな剣を抜く。
「ロルカ、抜刀せよ」
とエリオットが叫ぶ
だが
ロルカはパステルナークの柄に手をかけたまま抜こうとしない。
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