第49話 妖刀と破岩術



 「ロルカがポーに会ったぞ」


念通力で知った三階の状況をアラゴンはコクトーに伝える。


「この妖魔達に邪魔をさせてはなりません」


銀色に発光している枝分かれをしたツノを持つ鹿が応える。


「一対一では心許ないが」


アラゴンは大きなクノーを振りながら言う。


「いいえ、パステルナーク様がいます」


光るツノを一体の妖魔目掛けて突き刺し

コクトーが念通力で伝える。


妖魔の吹き出す体液を浴びて白い鹿の頭が更に赤く染まる。


 階段ではエリオットが小型のクノーを放ちながら

これもまた念通力でロルカに話しかけている。


「そいつだ、そいつがポーだ」


ロルカは心の中で頷き

一つ目の巨大な男の前へと歩み行く。


「パステルナーク、久しぶりだな」


とポーはロルカを無視して剣に話しかける。


ロルカはそっと

その細い刀身

破邪の剣の柄に手を掛ける。


「折角、剣に変えて私の手に収めようとしてやったのに、破邪の剣などとくだらない物に成り下がって。しかし、それもまぁ良い。まさか私の死の道具として働いてもらうために、自ら来ようとは。それとも、その細い刀身、真っ二つにへし折ってやろうかな」


不敵な笑みを浮かべながら

ポーは玉座の横に立て掛けてある剣

ロルカの身体の二倍以上ありそうな大きな剣の柄に手を掛ける。


その時


「ロルカ、剣に気を取られるな。奴も破岩術を使える」


シユウ達を制圧しながら王の間に入ってきたエリオットが叫ぶ。

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