第48話 玉座に座る者



 一階の大広間では

次から次へと襲いかかってくる妖魔に

アラゴンとコクトーは押され

後ずさっている。


「コクトー、防衛に専念しろ」


アラゴンが雄鹿へ念通力で伝えると


「アラゴン、貴方も捨て身になってはいけません」


コクトーの言葉が蝶形骨を越えて

アラゴンの脳に直接語りかけてくる

とアラゴンはニヤリと笑う。


捨て身でなければ

こいつらを制圧できん

アラゴンは一人頷く。


 その頃3階では


ロルカは王の間の扉の前に立っている。


階段では念動力を使いながらも

それでも無駄遣いせぬようにエリオットが戦っている。


ロルカの左右背後には

エリオット、アラゴン、コクトーの働きで妖魔達が来れない。


見えるものは

ロルカの目の前にある王の間への扉だけしかない。


ロルカは大きく広い扉を

満身の力を込めてゆっくりと開く。


扉の軋む音がする。


扉の向こうは

大広間と同じくらい広い部屋の奥に王の玉座がある。


人が座るような大きさではない。


この国の王となった妖魔のために作り替えられたのであろう。


人で三人分くらいの大きさがある。


そこに座っているのは

その椅子に丁度合う大きさの妖魔

姿格好は人と変わらない。


ただ

目が鼻の上

額の中央に一つしかない。


ポー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る