第19話 鹿飼いのアラゴン



二人は下山し、身支度を整えている。


「目的地は?」


とロルカが問う。


「王都だ」


とパステルナークが答える。


「では、どの経路を選びますか?」


とエリオットが問う。


「先ずはアラゴンの牧場に行き、乗り物を手に入れる」


パステルナークは答える。


ロルカは、念動力を使えば、王都まではすぐに行けるのではないかと思う。


それに呼応するようにエリオットが言う。


「承知しました。ロルカ、念動力を使えば早いと思ったであろう。念動力を一度身に付ければ、増す事はあっても減る事はない。然し、その力を使うものが疲れていては使い物にならない。頼れる時には頼る事も必要だ」


ロルカは頷く。


「牧場でアラゴンの育てた鹿を2頭借りる。それまでは徒歩で行こう」


ロルカはまたもや念動力を使えばと思ったが、そっとエリオットを見て、徒歩で行く真意を知りたいと目で合図する。


それを知って、エリオットはうんざりした顔も見せずにロルカに答えてやる。


「確かに急いでいるからには念動力も必要であろう。然し、既に妖魔達は私達が修行を終わらせ、下山したことを知ったようなのだ。ならば王都へ行く道に妖魔を送り込んでいるはずだ」


「その妖魔達を消しながら進んでいくと言うことか」


とロルカは納得する。

それに答えてエリオットには珍しく口数多く言う。


「返り討ちにしてくれるわ。念動力で行き、置き去りにしては失礼だからな」

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