第15話 薬効
ロルカは、夢を見ていた。
自分の父と母が鬼に変化し幼いロルカを襲ってくる夢だ。
ロルカの父は国の王の側近として宮廷に仕えていたが、宮廷での地位と権力を手に入れる為には手段を選ばない人物であった。そんな父をロルカは好きになれなかった。
また、母は母で金に貪欲で、良い服に金銀財宝をつけ着飾るのが好きであった。やはり、そんな母をもロルカは好きになれない。
夢の続きは鬼に変化した父と母が、逃げ惑う幼いロルカに追い付き、今まさにロルカを捕まえようとした時の事、二本の何かが飛んで来て二匹の悪鬼の頭に突き刺さった。よく見ると、それは両刃の金具、クノーであった・・・。
丁度その時、朝の煎じ薬を飲ませようと、エリオットがロルカの頭の横に膝をついていた。
「エリオット、エリオット・・・。」
うわ言でロルカが呟く。
「ロルカ、私はここに居る。安心しろ」
ロルカは目を覚まし青い空を見る。
「エリオット・・・。」
「どうかしたのか、うなされていたように思うが」
「夢の中で、二匹の鬼がやって来て・・・。いや、なんでもない」
「そうか、喋れるようになってきたな。さぁ、薬湯だ、飲め」
「エリオット、ありがとう」
「・・・・・・・。」
エリオットは返事もせずに、不思議そうにロルカを見ている。
「エリオット、どうか、したか・・・?」
「どうかしたのはお前の方だ、私の名前を呼んだかと思うと、突然鬼の話をしたり。体力が回復した代わりに、熱の後遺症で頭でもやられたのか」
ロルカの隣で剣が微笑んでいるかのように見える。
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