第12話 エリオットの力



ロルカは両手両足を使って登るが、元々しっかりと積み上げられた石ではない。

何度も落石と共に滑落しそうになる。


ようやく目的地まで来たかと思う。

ロルカが最後の石を蹴り、上半身だけが平らな空き地に着いた時、目の前にはエリオットの脚が見えた。


エリオットは、既に疲れが見えるロルカを見て、


「考えるな、念通力を使え」


と言う。


念通力?念じれば通じる?ここでは実際に使われている?ロルカは未だ半信半疑だ。


ロルカが狭い大地に立ち、身なりを整えていると、


「最初に見せておきたいものがある」


とエリオットが言い、先程登ってきた石ばかりの道を顔で促す。


ロルカはエリオットと並んで立ち、眼下の崖崩れで出来た急勾配の道を見下ろす。


隣でエリオットが両手を前に突き出した。


すると、目の前の崖崩れの道の中でも一番大きそうな石?と言うよりも岩が震え出す。


そのままエリオットの両手が上へと移動すると共に、大きな岩が宙に浮かび出す。


エリオットの軽く握られた拳がパッと開くと同時に、宙に浮いていた岩が破裂する。


まさか、この崖崩れは自然にできたものではなく、この娘の修行で作られたものなのか。


「念通力」


とロルカは呟くと


「念通力ではない、念動力だ。今からお前にもこの力を身に付けてもらう」


そう言うとエリオットは、また顔で別の方向を促す。

そこには人の10倍くらいもありそうな岩が大地に突き刺さるようにして立っていた。


「あの岩を持ち上げ、空中で破壊させた時がお前の修行の終わりだ。そしてお前は、それを成し遂げる。これは約束だ。行くぞ、時間がない。妖魔達は、既に動いている。ゆっくりと教えている暇はない。急げ」

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