第4話

 綺麗な人だった。

 

 

 

 

 

 背丈は俺と同じぐらい。

 

 

 パーカーにGパンって、ラフな恰好なのに目を奪われた。

 

 

 

 

 

 柔らかな声。

 


 柔らかな笑顔。

 

 

 

 

 

 女?男?

 

 

 

 

 

 どちらかよく分からないような、中性的な人。

 

 

 そして何故か頭の中をリフレインする、オルゴールの曲。

 

 

 

 

 

 符合しそうな何か。

 

 

 でも、符合しない、何か。

 

 

 

 

 

 咲き急ぐさくらの木をもう一度見上げて、俺はじいちゃんの家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 じいちゃんの家に着いて、インターホンを押した。

 

 

 11時ぐらいには着くよって言ってあって、でも遠回りをしてきたから15分ぐらい遅くなった。

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

 

 

 

 

 返事が、ない。

 

 

 

 

 

 今日は家に居るから何時でもいいって、朝言ってたはずなのに。

 

 

 

 

 

 玄関に手をかける。

 

 

 鍵がかかってる。

 

 

 

 

 

 まさか、倒れてるとかじゃないよな?

 

 

 

 

 

 焦って、じっと待っていられなくて、どこか開いてる窓はないかとウロウロした。

 

 

 

 

 

「じいちゃん?じいちゃん居る!?」

 

 

 

 

 

 庭から回って、窓という窓を確かめる。

 

 

 

 

 

 開いた。開いたし。不用心だなじいちゃん。

 

 

 でも助かった。

 




 

 家の東側、今は使ってなくて、物置みたいになってる応接間の窓。

 

 

 開けて俺は、よじ登った。

 

 

 窓枠の上でバランスを取って靴を脱ぐ。そのまま持って中に入る。

 

 

 

 

 

「じいちゃん⁉︎」

 

 

 

 

 

 変な汗が滲んでくる。

 

 

 

 

 

 じいちゃんが、どうか何でもありませんように。

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