第2話

 家に帰ってからも、俺はそのオルゴールのことが気になっていた。

 

 

 

 

 

 何でだろう。たまたまさくらの季節だから?

 

 

 やっぱりもらって来れば良かった。

 

 

 

 

 

 って、後悔してる自分がいる。

 

 

 

 

 

 じいちゃんの家は電車で30分。行けない距離じゃない。

 

 

 そして今は春休み。俺は大学生。

 

 

 

 

 

 明日、もう一度じいちゃんの家に行こう。

 

 

 

 

 

 そう決めて、ベッドに寝転んで俺はネットでSakuraというタイトルの曲を探しまくった。

 

 

 でも、結局、オルゴールの原曲は見つからなかった。

 

 

 

 

 

 ばあちゃんのオルゴールなら、昔の曲なんだろうな。

 

 

 昔過ぎて出てこないっぽい。

 

 

 

 

 

 なのに、すごい不思議な感じが残っていた。いつまでも。いつまでも。

 

 

 どこかで聞いたことがあるような、懐かしい感じ。

 

 

 

 

 

 どこかって、どこだ。

 

 

 テレビ番組か。それしかないか。

 

 

 

 

 

 次の日俺はじいちゃんに電話をして、やっぱりオルゴールが欲しいって、言った。

 

 

 じいちゃんはいいぞ、やるぞって、笑った。

 

 

 

 






 

 電車に乗る。

 

 

 電車に揺られる。

 

 

 

 

 

 線路沿いに植えられているさくらの木に、ぽつりぽつりと淡いピンクの花が咲いている。

 

 

 それを目で追いながら思い出すは、オルゴールのメロディー。

 

 

 

 

 

 やっぱり、懐かしい。耳に残っている。

 

 

 懐かしくて………何だろ。

 

 

 

 

 

 胸の奥が、何故か。

 

 

 

 

 

 ぎゅって、なるんだ。

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