第20話 旅は道連れ世は情け2
獣人は、相手が獣人か否かが、直ぐに分かるそうだ。人型であっても、獣の姿でも関係なくわかるというのが不思議だ。魔女のように、魂の色が見えるのかと聞いたら、リンクスさんは、魂の色など見えないと言った。よくわからない。
北に向かうにつれ、獣人に会うことが多くなってくる。
新しい相棒の驢馬は、獣人でなく、本物の驢馬だ。大人しい性格だが、シロとリンクスさんを怖がらない。少し甘えたがりで、私に毛を梳かされるのが好きだ。
山猫のリンクスさんは、飼い猫と同じで、自分で毛づくろいをする。それなのに、私がシロの毛皮を梳かしていると、山猫の姿になって、じっと順番を待っている。お陰で私は、シロとリンクスさんと驢馬とを毎日ブラシで梳かしている。二匹と一頭の抜けた毛を集めたら、敷物くらいはできそうだ。
驢馬を手に入れてから、旅の行程は早くなった。人と獣人が入り混じって暮らす町、かつてシロと別れた町に着いた。
隣人だったあの黒猫にも再会した。
「やっぱりな。こうなると思ったよ」
開口一番の黒猫の言葉に、シロは、狼の姿のままそっぽを向いた。
「魔女は、物知りな人族だが、俺たち獣人のことは、知らないだろうさ。俺だって、この国で育ったから、生粋の獣人のことなぞ、知らん。まぁ、あんた達は仲が良さそうだから良いが」
二匹と一人と一頭とは、人の目も獣人の目も引くらしい。行く先々で、人からも獣人からも、声をかけられた。話してみると、獣人も人と同じように、怪我をしたり、痛みを抱えたりしていることがわかった。人のための薬は、獣人にも有用だった。
これなら、獣人の国に暫く居ても、収入に困ることはなさそうだ。シロを家族のところに連れて行って、その後どうするか、考えて決めなくてはいけない。この旅はいずれ終わる。いつまでも、目を背けたままではいけない。
寝床に潜り込んでくるシロを撫でながら、私は目を閉じた。
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