第14話 シロと毛皮

 私は毛皮を敷いて、外套をかけて、シロと一緒に寝たら、暖かいだろうと思っただけだった。

「魔女、魔女、なにそれ、どうして、なんで」

シロが、喋りながらうなり声をたてるという器用さを披露し、大騒ぎを始めた。

「なんで、どうして、その毛皮、何なの」

シロの尻尾が乱暴に地面を打つ。リンクスさんは止めてくれない。


 私は眠いのだ。

「シロ、伏せ!」

仔犬の時にしつけた通りに、きちんとシロが伏せたことを確認して、私は横になった。


 毛皮を敷いて横になり、上から外套を被る。いつも通り潜り込んでこないシロに手を伸ばし、私は少し引っ張った。

「いいよ。こっちおいで」

私の声に、シロは、甘えた声を出しながら、私の隣に潜り込んでくる。いつの間に見つけたのか、お気に入りの毛布も一緒だ。


「お休み」

くうんと鳴くシロは暖かい。私は目を閉じた。


「まじょは、しろを、けがわにするの」

小さなシロが、黄色い目に涙を溜めて、私を見ていた。

「しないよ。シロは、可愛いシロだもの」

抱きしめてやると、一生懸命すり寄ってきた。

「けがわにしない」

「当たり前じゃない」

「ほんとうにしない」

「しないわ。可愛いシロちゃん」


 小さなシロを膝の上に乗せて、抱きしめてやる。拾ったときから活発だったシロは、短い足で、自分の尻尾を追いかけるのに忙しく、すぐに動きたがって、大人しく抱きしめさせてくれなかったから、甘えてくれるのは嬉しい。


 もうすぐ冬だ。シロの分厚い毛皮に私は頬を埋めた。


 いい匂いがして目が覚めた。夢だった。当たり前だ。今のシロはかなり大きな犬で、小さな子供を背に乗せるくらいできてしまう。人のシロは私よりも背が高い。夢の中とはいえ、久しぶりに小さなシロに会えて嬉しかった。


天幕の中には人気はない。外から美味しそうな匂いが漂ってくる。私はゆっくりと身を起こした。

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