2.現代魔法を学びたい!!









「え……現代の魔法を学びたい、ですか?」

「うん! もしかしたら、ボクにもできることが見つかるかもしれないし!」

「…………なるほど?」




 用意された食事を摂りながら、ボクはセシルにそうお願いした。

 古代では魔法の才がなく、大好きな研究も半端。しかし現代魔法について学べば、分かることがあるかもしれなかった。

 だとすれば、どこで学ぶのが一番いいのか。

 その答えは先ほど、セシルが口にした言葉の中にあった。



「ボク、学園に入学できないかな?」



 ――そう、彼女の言う魔法学園なら。

 分野は細分化されているらしいが、それでも基礎を知るにはもってこいだ。ボクは深々と頭を下げて、少女に頼み込む。

 するとセシルはしばし考え込み、こう言うのだった。



「それだったら、私のお爺ちゃんに頼んでみますけど……」

「お爺さん……?」

「はい。私のお爺ちゃん、学園の理事長をしているんです」

「それって、つまり……?」



 簡単な説明を受ける。

 要するに、村などでいうところの族長のような存在らしい。

 彼女はその孫娘であり、もしかしたら便宜が図れるかもしれないとのこと。ボクはその可能性を聞いて、少しばかり胸が躍った。



「もちろん、駄目といわれたらそこまでですけど」

「ううん! 大丈夫だよ、お願いします!!」



 感謝の意を込めてもう一度、先ほどよりも深く頭を下げる。

 セシルは少し困ったような顔をしていたが、それから数日後のこと――。









「――えー、彼はアルス・マクスウェルくん。今日からアルドロ学園の仲間になる。まだまだ分からないことも多いだろうから、皆で助け合うように」

「よろしくお願いします!!」



 アルスの姿は、王都立アルドロ魔法学園にあった。

 セシルは教室の最後方から、教員に紹介される青年を眺めている。

 緑の髪に、人の良さそうな笑顔。これといって特徴のない彼であったが、その正体は文献に【悪魔】と記載された存在だった。



「うーん……」



 異例ともいえる転入生。

 それが許されたのは他でもない、彼女の祖父が許可を出したからだ。

 しかしながら、セシルの頭の中にはやはり疑問が付いて回る。彼の話をした際に、祖父が見せた反応が気になったのだ。



「お爺ちゃんは、アルスさんを知っていた……?」



 ぽつりと、そう呟いて。

 しかし可能性の域を出ない考察に、首を左右に振った。

 何はともあれ、不思議な青年は同じ魔法学徒となったのだ。同時に学友として、自分にとってはありがたい存在ともなり得る。

 セシルは一つ息をついてから、すぐ隣の窓の外を見た。



「魔法理論を破壊する【悪魔】……か」



 自身の好奇心によって目を覚ました存在。

 分からないことは多い。


 それでも、一つずつ解決していこう。

 少女はそう考えて、人懐っこい笑顔で自己紹介する青年を見るのだった。





 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

封印を解かれた古代魔法の使い手、現代魔法を学ぶため学園に入学する。~人類最古、最弱と呼ばれた最強の魔法使い~ あざね @sennami0406

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ