第3話 村に入れない?!
意外とすぐだったな。
あそこがヤーカミ村だろう。馬車が並んでいる。あれは、荷物検査か何かだろうか。入り口もあそこしかないだろうし、しょうがない並ぶか。
・・・行列というのは本当に好きじゃない。はあ、めんどくさい。
こういう時本とかあるといいんだけど・・・。そういえばこの世界は娯楽あるのだろうか。
・・・ゲームとかしてぇな。
「あの、入れないってどういうことですか?」
俺は今警備の人に止められている。
1時間ほど並んだ挙句中に入れないなんてあんまりではないだろうか。
「どういうって言われても、入場許可証がないと入れないんだよ。」
盲点だった。持ち物なんて、おっちゃんからもらった砥石しかないってのに、
「ちなみにそれってどうやって手に入れるのですかね。」
「どうやってって、あんたこれまでどうしていたんだい。基本は生まれた時にその街で発行されるものなんだよ。もしかして無くしちゃった?」
なるほど、役所に出生届を出しているみたいなことなのかな。しかし困った、俺は転生してきた身だ。どうしたもんかな。
・・・ていうかそこは都合よく天使さまが用意してくれてもいいんじゃなかろうか。
不満を言っても聞き入れてくれるわけはないけど・・・。
「ちなみにだが、金を払えば入場証明書をもらえるぞ。まあ、ちょっと割高だけどな。まあスラムの連中みたいな例もあるからな。救済処置のようなもんだ。ここに金を持ってくれば発行するぞ。」
(なるほど〜。・・・ん、金?そういえば俺金なんて持ってなくね?)
「実は荷物を違うところに置いてきてしまって、ちなみにいくらでしたっけ?」
「再発行なら銀貨10枚、新しく作るなら銀貨50枚だ。」
銀貨・・・。そういやさっきのおっちゃんの持っていたお金は金と銀と銅の硬貨だったな。まあ大体金が上だろうけど、、、価値がわかんねえ。
・・・
「いやー、高いですね・・・。実は色々あって銅貨500枚枚ほど持っていたんですが、、、これくらいにまけてくれないですかね〜。」
「おいおい〜にいちゃん。それじゃ全然足りないよ〜。というか、それならめんどくさいから銀貨5枚にしてくれよ!まあそれじゃ通せないけどな。」
失笑気味のおっさんにイライラが募る。
でも、ビンゴだな。つまり銅貨100枚で銀貨1枚。俺は新しく作るだろうから・・・。
結局この世界でのお金の基準がわからないからこんな計算、意味がないな。
さてどうしたもんかな。
『お願いします!ここを通してくださいです!じゃないとお店が!お願いします!」
んん?なんだ?俺と同じく入れない子がいるみたいだけど。
「だからな〜お嬢ちゃん。入場証明書をなくしたのなら再発行してくれないといけねえよ。銀貨10枚だ。それがなけりゃ通せないよ。」
実に可愛らしい女の子だ。高校生くらいだろうか。外国人みたいな風貌だけど、、、そうか外国どころかここは異世界だった。こういう基準は直していかないと困ることも多そうだな。
「困りました。銀貨10枚なんて・・・。今すぐには・・・。」
「あのすいません。ちょっといいですか?」
「はいなんでしょう?」
「実は俺も入れなくてね。そもそもこの辺は不慣れなんです。もし良ければ詳しい話を教えてくれないかな。」
まずは情報収集が必要だし、中に入れない今この子に頼るしかない。
『・・・あの、それって私にメリットのあることなんですか?というか人に物を頼むならまず名前を名乗ったらどうなんですか。』
唖然としてしまった。中に入れなかったせいか、彼女は半泣きだったのだ。それなのにこの子は強い子だな。まだ一人前なんて年齢じゃないだろうに。
「ごめんね。そうだよね、まずは名乗らなきゃいけないね。俺の名前は 金口小太郎って言うんだ。よろしくね。」
『カナグチコタロー?変な名前・・・。』
美少女はジト目でも絵になるな、じゃなくて、、
人の名前に対して変とは失礼な。
「まあ私はルミナ。よろしく。」
「ところでカナグチコタローは・・」
「ちょっと待って!名前だけでいいよ。コタローでいい。」
「・・・コタローは貴族様なの?」
なぜか急にルミナは萎縮しだした。
「へ?普通の市民だよ?」
まあこの世界にとって俺は市民と呼べるのだろうか。まあこんなことを気にすることもない。
「・・・そうなんだ。仮名があるからてっきりそうなのかと。」
「へえ、そうなんだ、」
今後は名前だけで通していかないと面倒そうだな。てかやっぱり俺はこの世界の知識があまりにも欠落している。情報は金だ。それを持たぬは死を意味する。
やはりこの機会逃すわけにはいかない。野宿だってしたくないしな。
「よしルミナ俺と取引しよう。俺が今日中に銀貨10枚集める。その代わりこの世界について俺に教えて欲しいんだ!」
「ほえ?」
・・・。
そ、そんな冷めた目で見られると恥ずかしいんだけど。
「だってお兄さんもお金がないから入れないんでしょ?そもそも今いくら持っているの??」
「一文なしだね!」
そうドヤ顔する俺に彼女が冷たい目を向けたのは言うまでもない。
「とりあえずなんとかするからさ!」
「はぁ・・・。」
高校生くらいの女の子からおっさんがため息をつかれているこの状況・・・
側から見たら地獄だな。
この子とは今後長い付き合いになる。そんな根拠のない直感が俺を支配したのだ。
そんな未来を描いている俺の横で当の本人はというと、
さっさとこいつから離れてなんとかしなくてはという、腹を探るまでもなくわかる感情をこっちに向けていたのだ。
その気持ちが伝わってきた時、
最近の子は難しいねと、
俺は前世で言われて嫌だった言葉を想像せずにはいれなかった、、
元社畜「コンサルタント」の異世界“商人”生活 Kさん @kocoa568
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