第2話 初めての出会い

どうやらここは本当に俺の知らない世界らしい。


それに気づいたのはつい数時間前。

草原から闇雲に歩いていたら舗装された道を見つけ、そこを馬車?で通っている人間を見たからだ。

馬車と思いつつ、俺はあんな動物を知らない。

別に世界中の動物を知り尽くしているわけではないが、少なくとも俺が思う現実にこんな動物は存在しない。


「これが、異世界なのか。」


なんだかさっきから記憶が定まらない。俺がなんでここにいるのか、頭の中にモヤがかかった感覚。だが少なくとも生きる術に関する知識は失ってはいない。

だからこそわかる。

ずっとここにいたらおそらく俺はいずれ死んでしまう。


なんだかよくわからないが、獣の気配がする。後寒い。こんなところで一夜を明かすなんてまっぴらだな。



怖いのは山々だが、あの馬車に声をかけるしかない。


「あの、すいません。」


「おう、なんだ坊主!」

言葉は通じている。ありがたい。

それにこの人からはかなり友好的な印象を受ける。


「実はこの辺は初めてでして、この先は何があるんですか?」


「何っておめぇ、この先にはヤーカミ村があるんだよ。地図落としちまったのか?」


言い方的に道を探す時は地図を必ず携帯しているのだろう。これ以上自分の無知を晒すのは良くないかもしれない。


「実は旅の途中で落としてしまったらしく、、ちなみにそのヤーカミ村っていうのはどんな場所なんですか?」


「そりゃお前、ヤーカミ村といえば商業が盛んな街さ!近くにダンジョンを多い関係で冒険者が数多く滞在する街さ!」


驚いた。ここは本当に異世界だ。というかRPGの世界と考えた方が納得いく。

それに、さっきの獣の気配の裏付けができた。本当に危ない場所だったんだな。


・・・急に生きていけるかどうか心配になってきた。


「・・・そうなんですね〜。ところでおじさんは商品を卸した帰りってとこですかね?」


俺はなぜこの人をなんとなくでも商い人と判断できたかは説明が難しい。もちろん第一印象の雰囲気のみで導き出すことを可能だろうが、限りなく100%ではない、

この問いはこの人の身なりや仕草から感じ取った印象、ただ仮に第一印象が人を判断する多くのパーセンテージを締めているとしたら、今行なっていることは問いを通して、そのパーセンテージを限りなく100に近づける作業。

俺はごく自然とこんな考えを張り巡らせていることに気づき、気持ち悪さを覚えた。

ただ言葉とはこうかわすものだと、本能と呼ぶべきものが判断している。気がする。


「よくわかったな坊主!その通りさ!うちの自慢の商品よ!そうだ坊主!ここで会ったのもなんかの縁だこれをやるよ!」



「えっとありがとうございます。」


まあ、色々考えをめぐらせたがおそらく第一印象でほとんどの人がこの人が商い人であり、儲かったことがわかると思う。その積み荷に持っている袋いっぱいの硬貨を見れば儲かったんだろうってことは明白だよな。


色々考えすぎても碌なことがない。


そうしてもらったものは、、石?

この整った謎のいし。確かにものが良さそうだ、まあ素人目でしかないが、、だけどそれにしても、、、


「・・・これは石ですか?それにしては随分と綺麗ですが・・」


「おうよ!うちで作った砥石さ!見たところ坊主は武器を持ってないみたいだけどな!このあたりに長居するつもりなら武器の一つでもないといけねえからな!」


「そうなんですね〜。」


それで砥石を渡すのはどうなんだろうか。

それなら剣が欲しい。というのは贅沢だろうか。いやしかし、なんだかな〜。

まるで箸無くしてラーメンを食べるが如く。使い道はしばらくなさそうだな。


「まあまたどっかであったらよろしくな坊主!んじゃ俺はそろそろいくぜ!」


「色々とありがとうございました。本当に助かりました。」


「いいってことよ!じゃあな!」


さていい人に会えたことだし、一度行ってみるか。そのヤーカミ村ってところに。



・・・道中で獣に出くわしませんように。


なんせ俺には、めんどくさい考えとこの砥石しかないからね。



頭を研いだら考えが丸くなるだろうか。

さらに尖る結果はごめんだからやめよう。


そんなくだらないことを考えながら道中を歩くのであった。


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