第5話 作品介入
私は家に帰るとカクプラの画面を開く。
「コメントで私の作品が盗作だと言われた件についてアドバイスをお願いします」に新しいコメントがあった。
千葉さんからだ。
「転生イケメンですが、盗作を疑われているとの事でしたよね?なら、ほとんどプロットを書き直さず、盗作疑惑から外れる方法がありますよ?」
千葉さんが言っている事がよく分からないが、私は興味を持ったのでその方法とやらを聞いてみた。
すると・・・。
「男性キャラを、全員女性キャラに置き換えてしまえば良いんです。これなら作品のストーリーが180度変わるでしょう?つまりこの作品をBL物語から百合物語に設定し直すのです」
・・・は?
千葉さん何言ってるの?
私は思考停止をしてしまった。
思考停止をした私は、とりあえず千葉さんのコメントは見なかった事にして「転生イケメン」の続きを書くことにした。
はあ、心が癒される(現実逃避)。
しばらくして・・・。
今度は奈良さんからのコメントがあった。
「神奈川さん!千葉さんの
奈良さんが私の事を擁護してくれている。
それは嬉しいが、全BL作品を読破ってマジか・・・。
私はある種のドン引き的尊敬の念を奈良さんに抱いた。
「神奈川さん。奈良さんの言ってる事はあくまでカクプラだけの話です。例えば奈良さんは、『大作家になろう!』の全BL作品にも目を通しているのですか!?」
と、千葉さんのコメント。
確かに一理ある。
カクプラは小説投稿サイトでは後発組でそこまで規模は大きくない。
対して、最大手の『大作家になろう!』は作品数が多すぎてあそこで勝負してもほとんどの作家が埋もれてしまうほど数多くの作品がある。
「確かに『大作家になろう!』では全作品を読破しきれていません。けれど、半分くらいはあのサイトでもBL作品は読んでいて・・・」
と、奈良さん。
「そうでしょう?それにコレは盗作疑惑とは関係なしに、僕はBL物をおすすめ出来ないんですよ!そもそもBL作品はカクプラでは圧倒的少数派です。神奈川さんの今後の人生を左右しかねない破滅への道です!ぜひ僕の百合路線案をおすすめします!」
と、千葉さん。
「少数派だからこその活路があるんですよ!百合は圧倒的多数派なので埋もれてしまいます。転生イケメンは今のBL路線を曲げてはなりません」
と、奈良さん。
「何ですと!?全くBL病患者はこれだから・・・」
「何ですって!?百合豚はこれだから・・・」
あの・・・千葉さん、奈良さん?
一応ここ私のブログですよ?
喧嘩はよそでやってくれませんかね・・・。
しばらくして、山城さんのスタンプが押された。
勇者風のマスコットキャラが「いいぞ、もっとやれ!」と叫んでいるスタンプだ。
山城さん!?
何を
何だか収拾がつきそうに無かったので、私は千葉さんの提案をハッキリ断る事にした。
「千葉さん。ご提案はありがたいのですが、やはり転生イケメンはBL路線で行きます」
「分かりました。しかし神奈川さん。後悔する事になるかもしれない、いばらの道ですよ?」
千葉さんは忠告するが私の決意は変わらなかった。
はあ。
疲れる。
それにしても東京都庁さんはまだコメントしてくれないのかな?
憧れのあの人からのアドバイスなら素直に考えるのになあ。
その後はしばらくして・・・。
今度は北海さんからコメントがあった。
「神奈川さん。昨日俺が言った事をどうやら実行していない様ですね」
え・・・?
何の事だろう。
あ、昨日北海さんは作品を読んだ人には読み返すのが礼儀、みたいな事を言っていたんだっけ。
そう言えば北海さんの作品ってまだ見てないな。
試しに私は北海さんのページに飛んでみた。
いくつかの小説を斜め読みしてみる。
うーん、正直言って余り面白くない。
けど、意外にも北海さんの作品は結構評価されている。
ランキングもそこそこ上位に食い込んでいる。
北海さんの小説の応援をしている人を見てみると、オッキーさんの名前があちこちにあった。
ああ、なるほど。
言われてみれば、北海さんの作風はどこと無くオッキーさんの作風と通じるものがある。
先ほどの千葉さんと奈良さんのやり取りを見ても分かる様に、世の中には色々な感覚の持ち主がいるからなあ。
私が理解できないだけで、オッキーさんや北海さんの作風が好きだ!と言う人も多いのかも知れない。
などと考えていると、山城さんがスタンプを押した。
剣を持ったヒヨコが震えながら「鳥肌立った・・・」と言ってるスタンプだ。
鳥肌?何に?
改めて今度はオッキーさんの小説の方も見てみる。
するとその応援者には・・・。
私も山城さんに遅れながらも、「鳥肌がたった」。
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現状
東京都庁:未登場
千葉:何か奈良さんと喧嘩し始めた(百合厨)盗作説には否定的
オッキー:盗作説に否定的
奈良:何か千葉さんと喧嘩し始めた(BL病)盗作説には否定的
京都:神奈川(木刈カナ)を告発
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