第4話 「奈良視点」・「千葉視点」

奈良は大卒3年目の24歳会社員OL女子だった。

仕事が忙しいので、あまり小説作品は多く書いていないが、カクプラでは「ある種」のカテゴリー作品に限定するならば、全てを読破している自信があった。


奈良はデスクで事務作業に追われている。

い、忙しい。

目が回りそう。


いかんいかん。

そうだ、こんな時こそ栄養補給だ。


奈良は若手男性社員同士が言い争っているのを眺めた。


アレは経理部の男子と、営業部の男子だな・・・。


「おい、営業太郎!先月分の旅費精算書早く提出しろ!こっちは月次決算を早くまとめないといけないんだよ!!」


「待って下さいよ。経理次郎先輩。今大口取引先のプレゼンに出かける所なので、帰ったら作りますから・・・勘弁して下さい・・・」


太郎先輩攻めの、次郎後輩受けか・・・。

コレは妄想がはかどる。


先ほどまで疲労困憊ひろうこんぱいだった奈良の顔色は良くなっていた。

それどころか顔のつやまでテカテカになっていた。


そう、奈良は極度のBL病をこじらせた、腐女子であったのだ!(驚愕の事実)


カクプラではBL小説を全て読破している。


神奈川さんの新作「転生イケメン」。

アレは中々見どころのある出だしだった。


多分あの作品は自分の期待に応えてくれそうだ。

盗作だか何だか知らないが、変な誹謗中層に潰されるのはあまりにも惜しい。


奈良の眼は情熱の炎に燃えていた。


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千葉は女子高の国語教師だった。

来年で三十路みそじになる。


とうとう俺もオッサンの仲間入りか・・・。


まあいい。

俺は自分自身など、どうでもいい。


千葉は授業中の生徒たちを眺めた。

当然女子高なので生徒たちは全員女子だ。


千葉もまだギリギリ20代で顔もイケメンと言えない事は無い。

なので、教師と生徒の不純異性交遊を心配する人もいるのではないだろうか?


だが、千葉に限ってはその心配は無かった。


別に千葉は同性愛者の男好きでは無い。


むしろその逆、千葉は花のように咲き誇る美しい少女たちをでていた。


「花子さん。ネクタイが曲がっていてよ?私が直して差し上げますわ」


「う、梅子さん!いけませんわ!こんな公衆の面前で!」


「うふふ。ネクタイを直すだけなのにそんなに真っ赤になってしまって・・・。可愛らしい花子さん」


尊い・・・あまりに尊い生徒たちのやり取りに、千葉の様なやろうなど不純物でしかない。

それが千葉の生き様であった。


そう、千葉は極度のキマシタワー中毒をこじらせた、百合厨であったのだ!(驚愕の事実)


当然カクプラでの千葉の作品も百合系のラブコメばかりだ。


神奈川の短編ラブコメの中には少しだけだが百合的な描写もあった。


また、神奈川は自身を女子高生とたまにコメントしている事がある。


それが本当であるかどうかは千葉には分からないが、女性ならではの視点での面白い着眼点で女性キャラを魅力的に描いているのに何度か感心した事がある。


「転生イケメン」はアラスジを見る限り、男性キャラしか登場しない。

盗作疑惑はもちろんだが、神奈川をBL病患者にするのは、あまりにも惜しい。


千葉の眼は情熱の炎に燃えていた。

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