百合と向日葵.1
同じクラスの女子に告白をされた。時期は夏だから、その子を百合とでも呼ぼうか。彼女は所謂腐女子と言われ、アニメや漫画を好む子だった。百合は大人しい性格だったが、その頃私も深夜アニメを見るようになり、同じ話題を共有するようになっていた。彼女が私に好意を持ったのはその時だろう。彼女の視線に何度も気付いていた。気を遣わなくて良い相手で居心地が良く、何より彼女は顔が可愛かった。私は二つ返事でよろしくと答えた。
彼女はエスパーだった。私が彼女の方を見ると、目を合わせるなり瞳をまんまるくして「「何?」」と、頭に直接語りかけてくる。嫌、もちろん本当にエスパーなわけがない。彼女は目でコミュニケーションを取るのが得意なのだ。私はすぐに首を振ると、またも彼女は眉を顰め目を細め「「じゃあ何でこっち見たの」」と怪訝して見せる。ごめんと会釈すると、目を逸らし、つーんとした態度を見せる。もちろん照れているだけなのだが、その態度が堪らなく可愛い。
百合の両親が仕事で家を空けている土曜日、私は彼女の家にお邪魔した。実際何かやることがあるわけでもないが、この年頃のカップルは一緒にいるだけでも熱々と昂れる。テスト勉強がどうだとか、あの教師が嫌いだとか、あのアニメは最高だっただの、中学生ならではの戯言が繰り広げられる。一頻りの会話と少しの静寂を挟み、私は彼女に口付けをした。緊張と恥ずかしさとで、目をきゅっと瞑る彼女がいじらしくなり、意地悪に舌を入れると、彼女は瞳を大きくさせ、またすぐにキスを受け入れる。黒いTシャツ、膝丈くらいのデニムスカート、白地に桃色の縞々の靴下。クラスでは大人しい彼女だったが、私服姿(部屋着だったかも知れないが)はとても幼く見え、そのギャップが余計に私を興奮させた。
彼女をベッドに押し倒し、まだ貧相な胸に服の上から触れた。百合にとってはまだ恐怖なのだろう。彼女の肩は小刻みに震えている。私はそれに構わずに彼女の胸を撫でる。お腹へ手を伸ばし、直接触ろうと服を捲ろうとした時、彼女は私の手を掴み制止し、「「私のこと…好き?」」と目を潤わせ訴えかけてくる。僕は微笑み、「「好きだよ」」と合図を送り、彼女の手を払い服を捲る。私にとっても初めて見る、触る、女性の乳房。興奮で、彼女の機嫌を見る余裕も無く気が済むまで撫で続けた。それだけでは我慢できずに太腿に手を当てがうと、体をびくりとさせる。また彼女は目で好きかを確認してくる。今度は「好きだよ」と耳元で囁く。
結論から言えば、この日その後は特に何も進展していない。下着の上から秘部に触れると、その感覚に耐えられなくなったのだろう。「やっぱり今日は無し!終わり!」と顔を赤らめる百合。両親の帰宅時間も迫り、その日はこれで終わった。私も童貞だ。まだ求め合っていたかった寂しさより、上手くできるかどうかの焦りが解消された安心感の方が強かった。
それからして、時期は夏休みに入る。私は人生で初めて“彼女”に罪を犯すことになる。
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