第8話 解決への道


 ウクライナは、西部は欧米より、東部はロシアより、これは独立後、大統領選挙で示された結果ですぐわかる。経済的にも西部は欧米と結びつきが、東部はロシアとの結びつきが深い。エネルギー資源はロシアに依存している。

 オレンジ革命で欧米よりの政権が出来たが、政権内部の混乱で親露政権が復活、EU加盟を拒否したことで騒乱がおき、再び欧米派政権が出来た(2014年の政変)、これに危機感を持ったのが、クリミア併合、東部州武力介入であった。特にNATO加盟についてロシアは強い危機感を持っていた。

 デレンスキーを評価しない最大の事は外交力のなさである。ロシアには外交努力さえしていない。経済的な面を考えても、また軍事的脅威を考えても全く理解できないのである。「ミンスク合意は不当な武力圧力のもとでなされたもだから離脱する」発言はプーチンへの挑発以外の何物でもない。それならば、欧米・西側に強力な後ろ盾を構築出来たのであろうか?

 支援・応援を受けたのは戦争になってからである。国民は避難し、街は廃墟となっている。一日長引くごとに犠牲者は増える。停戦合意がなされていると云うが、不利な戦時下でなされる合意とは?戦争までして、多大の犠牲を出したのである(ロシア兵も)、後に紛争を残さない為の全面的大胆な提案・合意を希望する。

 クリミアを取り返すには武力によってしかなされないであろう。また、ロシアで良いという人々も多い。無理・不可能だと考える。クリミヤ併合を認める。その代わりに東部二州の干渉はやめて貰う(二州にはどの様な自治権を与えたものにするかは話し合いで決める)。国の安定と将来の発展のため国土を放棄するのも大胆ではあるが、ドイツのグラント首相の例もある。一つの選択肢である。ウクライナが決めたのである。欧米はこれを理由に経済封鎖は出来ない。ロシアは一切の封鎖を解かれて国際社会に復帰できるのである。国際社会もハッピーである。NATO加盟は当面取り上げず、ウクライナは中立主義で行く。但し国軍は保持する。これで決められないなら、プーチンは政治家ではなく、孤立した独裁者として、いずれ歴史の断を受けることになるだろう。

 本当は戦時下ではなく、戦争前にこの提案が出来ていれば、犠牲者も出すことなく、ウクライナの強い意思が貫かれたものとして、すんなりと行けたのではないかと思うのだが・・。

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