第2話 ニューヨーク観光

 キラキラと照り付ける日差し、やっと地上に着いたことでフラフラする足、周りには体が大きくてごつい人たち。

 つ、ついに・・・・・


「ついたーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」

 ゴツン

 あたっ、私が叫んだ瞬間、殴ってきたやつがいるんだけどー?

「おい、うるさい。ちょっとは黙ってくれないか?」

 やっぱり、こ・う・し・さ・ま・だった。

「何でよ、嬉しいだけじゃん」


 そうやって、もめてるうちに、みんな先に行っていた。

「あ、待ってよ!!」

 私たちは、急いでみんなの後を追った。

「あ、おい、置いていくな」

 慌てて、航志も後ろに続いた。


 空港から出ると、アレックスさんの迎えだろうか?漆黒のリムジンらしき車が止まっていた。

「〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰!」

「〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰!」

「〰〰〰〰〰?」

「〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰」

「え・・・・・?意味わかんないんだけど・・・・・?」

「俺も、さっぱりだ」

「僕も・・・・・」

 私と為義は当然だとして、大佑もか!あれ?聖奈子は会話の輪の中に入ってる?!

「よし、行こうか」

 聖奈子パパがリムジンへ手招きした。


 燃料電池自動車なのか、リムジンはとても静かに走る。すごく心地良い。

「みんな、ちゅーもーく!」

 聖奈子パパが言うと、一斉に視線がそっちへ向かう。

「前、みんなから聞いていた行きたい場所、行ける場所が決まりました。自分が行きたかったところが行けなくなっても、許してな」

「はい!」

 私は元気よく言った。だって当然じゃん。エリア51が落ちるわけがないもん。

「ヤンキースタジアム、エンパイアステート、自由の女神、アメリカ自然史博物館。そして、遠方だが、エバーグレーズ国立公園にも行くことになった。異論はないな?」

「はい!!って?あれ?エリア51は?」

「それがな・・・・・すまん、無理だった。遠方のところを抽選でやったら、これになったんだ。許してくれ」

「う・・・・・あ・・・・・え・・・・・エリア51~~~~~~!!!!何で~!!!!!!!!」

 私の叫びが車に響き渡った。


 ひとまず、ホテルに着いたところで、私はまだ泣き止んでなかった。

「どうしてよ~~~~~どうして何で何で何で何で~~~~~!!!!」

「うわ、暴れるなよ」

「何で何でエリア51何で?!UFO見たくないの??何で何で何で~~~~~!!」

 さっきまで、航志が独りで抑えていたが、ホテルまで来るとなるとさすがに、迷惑はかけられないよね。為義、未空が抑えにかかり、やっと私は落ち着いた。でも、ホテルの部屋に入ったらすぐにトイレにこもって泣くだろう。


 ガチャリ

 ホテルの部屋を開錠すると、そこはとてもエレガントな部屋が私を待っていた。

「うわ、すごいベット綺麗ね」

「結構広いな」

「俺の性に合うカッコいい部屋はねぇのかよ?!」

 聖奈子と大佑はただ感心、為義は部屋に抗議している。

「ああ、為義君と航志君、大佑君たち、男子軍はこっちにあるよ。男女混合じゃあ、着替えのときとか不便だろうからね」

 すぐに為義が反応し、聖奈子パパの目の先に着いていった。

「うわっ、かっけー!!!!」

 為義が喜んでいるなら、まあひとまずいいんじゃない?


「それじゃあ、早速ご飯を食べようか?」

「やたー!」

 一番に声を上げたのは、意外なことに未空だった。

「え?未空ってそんな食べること好き?」

「そうだよ。え、みんな知ってるよね?」

 未空がみんなを見渡すと、みんなコクコクとうなずいてた。

 って?未空の親友だと思っていた私しか、そのこと知らなかったの?ちょっとちょっと、めっちゃ孤独感あるんですけど・・・・・?


 階段を下りると、広がった世界は大きなバイキング!

「うお!!広いな!!よっしゃぁ、食べるぞ!!!!」

「わーい!」

 あらあら、為義と未空は競争するみたいに突っ込んで行っちゃった。

 そして、いつの間にもう選んだのか、聖奈子と航志は二人でもう食べてるではないですか!それも何とまぁお上品なこと。私も見習わなきゃならないかも。


 食事が終わると、みんなはバスに乗った。アレックスさんと聖奈子パパはお仕事があるから、ここでお別れ。今日の夜、またホテルでだ。

「コンニチハ!ボクノナマエハ、『マーク』ッテイウンダ!ナイストゥーミートゥー、ヨロシクネ!」

「おお、ハロハロー!!マイネームイズ、タメヨ~シ~!」

「マークさんというのですか、よろしくお願いしますね。私は聖奈子・西野と申します。日本語、お上手ですね」

 さすがは聖奈子だ。日本語はだいぶ外国人っぽさがあるけど、良くできている。

「マークさんが僕らのガイドなんですね。アメリカのこと、色々教えてください。僕は小西航志と申します」

 そこから、みんなが自己紹介を終えた。


「サア、ノッテノッテ!コレカラ、ボクガガイドトシテ、アメリカヲアンナイスルヨ!マズハ、ミュージアムニ、イコウカ!」

「イェーイ!!!!」

「バスハ、ボクガ、ウンテンスルヨ。ボクハワカイコロ、ホントウノガイドトシテハタライテイタカラネ!」

 どうりで、ガイドとして信用できるわけだ。とても、信用感があるし、やっぱフレンドリーだよね。


「広い広い、大きな博物館。楽しそう!!」

 未空がはしゃいでいる。

「俺が行きたかった場所だ。恐竜化石とかあるのをテレビで見たんだよな」

 航志はうっとりしている。

「博物館って言うからつまんねぇのかと思ったが、意外といいじゃねぇか。トラのはく製とかあって」

 為義まで・・・・・?

「それでは、時間はたくさんあるからいっぱい見てくださいね」

 聖奈子が言う。

「いぇーい!!」


 私はどうも、博物館というものが馴染めそうになかった。だから、ひとまず、喫茶エリアでブラブラとしていた。

「エリア51・・・・・」

 気づけば、寝ていた。

 読書コーナーの片隅の席で、私はすやすやと寝息を立てていた。


 ペチン!!!!

 エリア51に一人で行って、宇宙人と仲良くなっている夢を見ていた私。このまま、どこへ遊ぼうかと散策していた時に、起こされた。

「おい、何で寝てんだよ。なんか見たか?」

「見てない・・・・・」

「つまんねぇヤローだな!!」

 航志と為義に責められてる。なんも悪いことしてないんですけど??

「ヨシ、タイムアップ!ホテルヘモドロウカ!カエッタラジュンバンニオフロニハイロウ」

「はーい!!」


 バスの中でも、やはりワイワイはしゃいでいた。

 こんな時こそ、私だ!!夏はみんな、涼しさを求める。涼しくなる、いや、冷たくなると言えばやっぱホラーっしょ!


「はい、注目!!今からお話しま~す。今回は、『キメラハウス』というお話です!」

「また??花帆、もうやめてよ・・・・・」

 さっきまでワイワイ言ってた未空の顔が急に曇った。


「ある場所に、古い洋館がありました。そこは、13階建ての洋館で、『キメラハウス』と呼ばれています・・・・・そこは、高い入場料を払えば、誰でも入ることができるのです。興味津々で、中に入った人は、あるものを見ることになります・・・・・」

「何、怖い!!」


「それは・・・・・・・・・・そう、得体のしれない“怪”が支配するお化け屋敷なのです・・・・・」


「ひぇっ?!それお化け屋敷じゃないじゃん!!」

「おい、大佑も男だろ。それぐらいでどうするんだ」

 為義が大佑を軽く叱った。

「そこに入ったら、なんと脱出するまで出ることはできません・・・・・。各フロアを回り、フロアごとに、入場料が帰ってくるらしいけど、誰も出てきたことがないらしいよ・・・・・みんなも行く・・・・・?」

「「「イヤアァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」」」

 未空、聖奈子、大佑が絶叫した。

「行ってみてぇぜ。俺が最初の覇者になってやりてぇ」

 為義はそう強がっていた。ホントに出れるのかな・・・・・?これでも、やっぱ、子供だよ?

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