10階の重み

「全員生きてるのが不思議なくらいだぜ」


盗賊キースは悪態をついた。


「それはチームプレイの勝利よ!」


忍者アリスは断定する。


「チームプレイあってこそのものだと思ってる、その分キースの指示には感謝しているわ」


「もうさユーノー、10階のモンスター軍を1、2回やって帰って来るを繰り返せばいいなじゃないンデスかねスゲクション?」


僕はそれもいいな、と思った。緊張感は100%だけど、集中力はギンギンに皆あがるし。


問題は僕がやられた場合だ。キッドはそれだけを心配してると言ってもよかった。


しかし昨日の10階戦闘でレベルが2上がり、光の玉のスキルを2段階もあげたし、ステータスも防御力にあげている。


絶対に足手まといにはならない。


と、盗賊キースが僕を狙って両手で四角を作って見ていた。僕のステータスをみているんだ。


「なかなか頑張ってるじゃんエットは」


「ミーのステータスも見て見て~」


「お前のは見たくない。卒倒するかもしれないからな」


「オウシット」


「とにかく10階で勝てば1回で宿屋15日分が手に入る。あとはみんなで山分けできる。

10階で今後頑張ってればレベルも上がるし、いいんじゃねえか」


「バット盗賊ボーイ。ブラックという敵は首跳ねのエキスパーですし、ドラゴン系もでますし、大変ですよ」


続いて僕が言った。


「7回以降のイベントをやってないから、経験値がもったいなくないですか?」


「のんのん。下手したら全滅するイベントですので、やらなくてノーセンキュー」


「宿屋でのんびりしつつ、時々10階を2度やる。それでいいわね?」


アリンが締めようとすると、キッドがまた口にふさがれた。


「各階にレアモンスターいますよね?10階だとボスが出て来るので、必死で逃げてくださいエスケープ。あてくしはソロで挑んでも、倒せなったですから」


侍モンドが、


「でも倒すとすごい金がはいってそうじゃないっすか」


「知った風なことぬかすなバットボーイ!ボスはそんな生半可なレベルで勝てるような相手じゃないファイッ!!」


キッドの全身タイツ姿が見慣れてきているのが、すごく嫌だった。


とりあえず方針は固まったので、皆自由行動となった。ピピンは真っ先に朝食を食べ終えると、部屋に戻りグッスリ眠る。


キッドはアクロバティックな動きをしながら拳銃を取り出すシミュレーションなのか練習なのか分からない事をしていた。


やはり強い者は練習あるのみであることを思い知らされた僕は部屋にもどると、呪文書を読んでいたが、程なく寝てしまっていた…。

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