闇の中の光
半日ほど寝ていたが、目を覚ます。いつものアパートの天井だ。
ボウ―っと布団から出ずに、僕なりに考えていた。蒸気機関車に石炭を入れなくちゃいけなかった。
しばらく経ってから、ふと気づいた。
≪また死ねば、あそこに戻れるのでは?≫
麦茶を飲んでから、僕は再び、縄の輪っかに頭を入れる。
本当に現世には居場所はない。昨日に見た、あらゆる督促状の束。
足場を足で蹴って、縄がしなっていく。死ぬのに7分もかかった。
「…君」
女性の声がした…かもしれない。
「…ット君」
アリンなのか?そういうことは…
「エット君‼」
僕は現世でゆっくり目を覚ました。
「生き返ったのね…どうしちゃったか心配したじゃない!」
そこには泣きじゃくるアリンの姿があった。
今いる場所は教会のようだ。僕を生き返らせようとしていたのだろうか。
「ごめん…『前世』と戦ってたよ…」
「分かんないけど、宿屋に行きましょう!」
宿屋に行くと、パーティーが宿屋の中にあるテーブルで皆ビールを飲んでいた。
「おーっ!生きてたか!」
「よかったっすねぇ!」
前世に未練は全く無い。僕にとってこちらが現世――――――
死ねば戻れる事も発見できた。また前世で目覚めたら、迷わず死ねばいい。
パーティーの中に、初めて見る顔もあった。
とにかくピピンは酒を飲み過ぎて寝ているし、皆アルコールを摂取しているので、ダンジョン攻略は明日にすることにした。
現世の僕は眠くならないので、宿の部屋の中で楽しげに呪文書を読んでいたが、いつの間にか寝てしまっていた。
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