また朝が来る

僕らを巻き込みながら、また朝は必ずやってくる───────────


忍者アリンは2日酔いらしく、フラフラしながら黒装束に着替えて降りてきた。


ハイエルフはいつも早起きして、弓矢でいつものカラス撃ちをしていた。


僕も呪文詠唱の書を読んでいたので、遅めの目覚めになってしまっていた。


侍とマッパーはいつも通りといったところだろうか。


朝のモーニングを食べながら、ナターシャは皆に呼びかけた。


「今日はどこまでもぐりましょうか?」


そこでアリンは頭を抱えながらさえぎるように言う。


「あのねぇ…それを決めるのはねぇ…カッティングエッジ団長の…私だから…!」


「まず、なんですのそのカッティング団って?」


「私…のパーティ一団の…ことよ」


「こういうのはいつだってレベルの高い者が決めるんではなくて?」


「……」


忍者アリンは二日酔いのせいで頭がまわらない状態だったのでこれ以上反論出来ずにいた。


「本日は5階から始めて、いい感じでしたら6階まで行ってみませんか?」


「売れる装備もここからドロップしてくるっす」


侍はいつもナターシャと同調している。2人は事実、手練れなのだろう。


そんな僕も早くビショップになりたくて、6階論につい同調してしまった。


「テッド君はトーチを絶やさないでね?途絶えると敵の発見が遅れますの」


「はい!」


「じゃあいきましょうか!」


アリン以外、手を上に上げた。


パーティーはいつも通りのダンジョンに入り、1階から5階まで一気にテレポートした。


早速僕はトーチを灯す。アリンもさすがに気合いを入れる。


と、トーチの前から足音が複数こちらへ向かってきた。


「いきなり忍者きたーっ」


「私が首を狙いにいくから、取りこぼしを殲滅して下さい」


「了解!」


忍者は駆けたかと思うと大ジャンプをして敵にぶつかり、2人の首を跳ねた。さすがにラックにスキルを振り分けているだけの事はある。


追加でもう一人首を跳ねると、残り2名は僕らの所にやってくる。


ナターシャは狙いを定め矢を放ち敵は沈んでゆく。残りの1人は侍の村正の露と消えた。


とりあえずひと安心する。忍者が来ると、アリンの頭の中では殺されたミッドレィの姿が焼き付いて来る。


「6階はこっちだよ」


ピピンが誘導する。僕はピピンにトーチを照らしながら道を進んでいった。


「6階のイベントは特に生命に関わるイベントですのでご注意くださいね。あと6階からはマッパー記入おねがいします」


「OK!」


あともう少しで6階というところで、角から6人態勢の別パーティーがやってきた!


(どうする…敵が強かったら)


(…でも装備取りたい放題ですわ)


ボソボソと言ってる間にも、敵はやってくる。


どれが適切な対応なんだ?どうすればいいんだ───────────

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る