忍者、PT抜けるってよ

「拙者はパーティを抜けるでござる」


僕らパーティーはしばらく固まっていた。盗賊アリンが何とかその口を開ける


「何で⁉これから稼げる時なんだよ?」


「アリンの言う通りだ!俺たちじゃ駄目ってことかよ!」


「拙者はダンジョンよりも地上戦のパーティーを組んで戦いたい所存」


皆、心底がっかりした様子の皆だったが、ピピンが言った。


「アリンが忍者になれるので、忍者が抜けても別に痛手にはならないよ。意見は尊重しないとね」


チビッ子なのに言う事は1丁前だ。


「さあギルドに行って盗賊探しに行こう」


ちょっとまてという体で忍者が慌てた。


「あの、ちょっとくらい引き留めるとかしてくれないのでござるか?」


「だって抜けたいんでしょ?いいよ別に」


「そ、そうでござるか…」


忍者はそのまま宿の扉から出ていった。


「アリン、忍者になる覚悟と勇気はいるの?」


僕はどうしてものどが詰まった思いて聞いてみる。


アリンは少年の耳元でささやいた。


「大丈夫、今日買ったナイフは忍者になっても使えるから」


「無駄金じゃなくて良かったね」


そんな訳で今僕たちはギルドに足を運んだ。


相変わらずギルドは盛況だ。皆バラバラになって探す事にした。


僕はキョロキョロと辺りを見回しながら人ゴミを掻き分けた。


そこで僕はハッとする。バーカウンターにいる1人に目が釘づけになった。


盗賊の恰好をしたハイエルフが、カクテルを傾けている。


あまりの神々しい光に、思わず声をかける。


「あの…」


「坊やどうしたの?誰かと離れたの?」


「う…うちのパーティーに入ってくれませんか」


急なお願いに戸惑っていたハイエルフだったが、笑顔で


「いいわよ」


突然の快諾。と同時に僕の顔が真っ赤になる。ハイエルフがウチの仲間に…想像だにできない。


とりあえず僕は叫んだ!


「カッティングエッジ団、集合~~‼」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る