作戦会議

宿屋のドアをノックもせずにと盗賊アリンが、装備を投げ捨てる。


「低価格で買える侍用の装備一式を買ってきたぞ」


「重たかったよぉ~」


「ありがてぇ…ありがてぇ…」


ありがたがる侍に対して忍者鋭影が服を差し出した。


「でもこれは明日装備するとして、先にこれを着ろ。パジャマ兼越冬服」


寒気でどうかなりそうだった侍のミッドレイは早速飛びつく。


「あれ?これ顔と足だけしか穴無くない?」


低レベルのモンスターみたいな恰好になって、思わず盗賊アリンが『ぷふふ…』と吹き出す。


「暖かいだろ?」


「暖かいけど手が出ないのはちょっと…」


「明日に備えてさっさと寝ろって事だよ、お侍さん」


忍者に蹴られベッドに何とか転がった侍は、そのまま夢の中へ行ってしまった。


「別室で明日の会議をする。みんな来て欲しい」


忍者鋭影はそう言ってドアを開け、皆もそれに続いてゆく。


「明日は3階と4階どちらで狩りをする?」


盗賊アリンが率直にぶちまける。


「4階は拙者、まだ無理だと思われる。侍がレベル1なんだぞ」


「ヒーラーもまだマックスじゃないしね…」


僕は正座で申し訳なさそうな顔をする。


「でも4階のイベントも魅力的よね~」


「トラップも多いぞ。拙者は反対」


「エット君はどう思う?」


急に話題を振られて慌てるが、


「僕は3階が良いと思います…高レベルのヒール呪文がまだ記憶的に完璧じゃないので」


「ピピンも3階で稼ぐのが良いと思う。何なら別パーティを攻めても良いんじゃないかと」


「それはさすがにやりすぎでしょ~」


盗賊アリンがにこやかに笑う。アリンはいつでも笑顔で実に楽しそうだ。


「じゃ3階でコツコツ、PT来たら襲撃。以上解散」


そういうと忍者は自分の部屋に入っていった。


いったいどうなる事やら…。


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