ヒーラーである俺…いや僕――

「あの――ギルドってどこにあるか分かります?」


八百屋をやっているお婆さんに恐る恐る聞いてみる俺。


「買うんなら教えるけども?」


「あ…」


転生したばかりでお金を持ってなかった。せめて周辺のスライムを何匹か倒しとけば良かった。


そこにいかにもベテラン風の職業不明の女性がやってきて半分咆哮のように言った。


「そこのトマト2つ頂戴!」


「はいよ!」


そしてトマトの1つを俺に出し、食べるよう勧められる。


新鮮なトマトでヘタ以外全部平らげてしまった。


「いい食いっぷりだねぇ~。ヒーラーならうちのパーティーに入れてあげてもいいわよ。なんでも教えてあげるから」


「本当ですか!俺…」


そうここでは優男少年なわけで…


「僕嬉しいです。まだレベル1なんですが、それでもいいんですか?」


「ヒーラーは大事なんでストックしとかないとね!レベルもすぐ上がるよ」


これはラッキーだ。突然すぎるがいい人と出会えた。


「ギルドはこっちだよ!ほかのメンバーちゃんと、そろってるかなぁ」


「そろってない場合もあるんですか?」


「まぁギルドの屋敷自体広いし、寝てるメンバーもいるかもね」


ギルドはわりかし中心街にあって、すぐに到着した。前世では不規則な生活がたたって、マラソンすらも困難だったが、今の僕は実に軽やかだ。子供は無駄に元気がいい。それを公園でよく見てたものだ。


「カッティング・エッジ隊集まれー‼」


とにかく声がデカいのでギルド内で悪目立ちしていた。


ギルドは1階がパーティマッチング場所、2階はより深いパーティ交渉や仮眠や食事を売っているらしかった。


「お、ヒーラー入ったか!…なんだレベル1じゃねーかよ…教育してくのか?」


2階からパンを食べながら戦士の恰好をした男がダルそうに降りてきた。

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