第一章 始まり


ー太陽が沈んでいく。今日の戦いの幕が下りる。


夜は、視界が悪くなる。だから、戦えない。


敵も、攻撃はしてこない。


さぁ、ぼちぼち基地に帰るか。


今日も、生き残ってしまったな。


僕が生き残った分、多くの犠牲が出た。


敵も味方も。


だけど、誰も悲しむことはないのだ。


仲間を失って、悲しむことさえ、僕らには、許されていない。


だって、僕らは、兵器なのだから。


それでも、一人、基地へ戻る間は、涙が流れる。


悲しいのではない。悔しいわけでもない。


ただ、ただ…………。


怖いという思いに、涙が出るのだ。


今日は、生きて帰れたが明日は、分からない。


血を流し、身体がバラバラになった屍を見ながら、

明日の僕の姿かもしれない。


そう思うと、ただただ、怖いと思うだけ。


みんな、好きで死んでいく奴なんて、一人もいないのだから。


それでも、戦わなくてはいけないのだ。


だって、僕らは、兵器なのだから。

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