自業自得
「あなた……自分が何を言っているのか分かっているの?さっきから無茶苦茶なんですけど」
「分かってるさ!俺はシランの良さに気づいたってことだ!やっぱり君は有能だな!イレーネなんて女は、見た目だけのどうしようもない女だったんだ……。なぁ、もう一度婚約しよう?そして、あの公爵との仲を取り持ってくれ!」
焦りと混乱で無茶苦茶言ってくるわね。ルイったら、どれだけサイモンのこと脅したのかしらね…。
あぁ……この状況、終わりが見えないわ。どうやったら諦めてくれるかしら?
サイモンが大きな声で喚くから、周囲の目が痛いじゃないの。せっかく良い噂が広まりそうだったのに。
「お嬢様、お待たせしました。おや?品性のない声が聞こえると思ったら、また貴方ですか」
げんなりしていると、タイミング良くルイが戻ってきました。
「ルイ!遅かったわね、待っていたのよ。もう疲れたから今日は帰りましょう」
「申し訳ありません、お嬢様。早く戻ろうと思ったのですが、イレーネとかいう失礼な女性に掴まっていまして……。もう解決したので大丈夫です。帰りましょう」
イレーネはルイのところにいたのね。全く何を話したのやら……。まぁルイの表情から察するに、また適当にあしらって対処したのでしょうね。
「公爵様っ!どうか話を……!」
帰ろうとする私達の後を追いながら、サイモンが必死に話しかけてきます。
ルイは全く振り返らず、私を連れて会場の外まで出てきました。
「サイモン、こんなところで私達に縋るより、あなたのお父様にきちんとお話ししたほうが良いわよ。今日の無礼を噂で知られたら、謹慎じゃ済まないかも。自分から言って謝罪した方がマシなはずよ」
一応、最後にアドバイスをしてあげる自分の慈悲深さに驚きです。
「なら、シラン!君も父に口添えしてくれよ!君が許してくれれば全て解決なんだから!本当に後悔しているんだ……」
まったく、どの口が言っているのかしら。
「私を捨てたことを後悔しているようね。今更遅いけれど……。さよなら、サイモン」
呆然と立ち尽くすサイモンを置いて、私達は家に帰りました。
我が家に戻ると、今日一日の疲れがどっと押し寄せてきました。もう何も考えたくない……今日は早めに寝てしまいましょう。
「ただいま戻りました、お父様。今日は久しぶりのパーティーだったからか、とても疲れたわ……。先に休みます。ルイ、お父様、お先に失礼します」
「あぁ、お疲れ様。シラン、おやすみ」
「おやすみなさい、お嬢様」
二人の顔を見て挨拶をした時、二人に聞きたいことを思い出しました。
「あ、ルイもお父様も、もう私に隠し事はありませんよね?これ以上のサプライズはお腹いっぱいよ?」
「「あぁ、えーっと……」」
え?何故二人とも口ごもるの!?まだ何かあるのかしら。
私が驚いていると、ルイが少し慌てて説明しました。
「そのことに関しては明日話しましょう。悪い話ではないですから。さ、もうお休みください」
一体何なのよ……でも気になるけれど、今は眠気のほうが強いわ。
「分かりました。明日、きちんと説明してくださいね。おやすみなさい」
面倒事は明日にまわして、私はストンと眠りに落ちました。
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