第10話 異例の変化

狼狩りを始めてから数日が経ちました。私はこの数日間で多くの狼を殺し、また情報を集めていました。

その結果わかったこととしては、まずはやはり、佐藤翔の【ギルド】が消えたことでしょう。流石に上位陣を亡くして活動を続けることはできなかったようです。次に、何故か我が【ギルド】のメンバーが増えていることでしょう。多くの【ギルド】ではメンバーはそれぞれで連携を取り合い、パーティを組んでいます。そのため、一人単位ではなく、パーティー単位で移動してくるものが多いのです。元の【ギルド】にとっては抜けるだけでもかなりの痛手になるはずなので、普通は入ってきたものはお金や地位で縛り、逃さないのですが……。それにしてもなぜこうも増えているのか?謎は深まるばかりです。閑話休題、私が遊撃隊に引き抜きを狙っているのはこの二人。【ギルド】の入隊時から幾度か一緒にいるのを見かけておりますので、恐らくご姉妹なのでしょう。一人目の女性の名前は、真島美月様と言います。恐らく成人していらっしゃいます。私より年下と思われますが確かに強者でしょう。もう一人は、高坂楓様。こちらもなかなかの実力者のようですね。名前的に、ギルマスのお子さんでしょうか。彼女に関してはまだよくわかりません。ただ、彼女が佐藤翔に話しかけてから、彼の様子がおかしくなったと聞きました。何か関係があるのでしょうか。言霊遣い、とかならば面白いですが。

私は、お二人に話しかけることにしました。

「こんにちは、高坂楓様と、真島美月様、で合っていらっしゃいますか?」

「ええ、合っております。貴方はどちら様でしたっけ?見覚えはあるのですけれど……」

「はい、合ってますよ。真島美月と申します。確か、成田様、ではなかったですか?佐藤昭一氏との戦い、見事でございました。」

「いえいえそんなことはございません。ところでお二人はどのようなご関係なのでしょうか?姉妹と見ましたけれど」

「ふふっお世辞でも嬉しいわ。そんな事を言っていただけるとは。母娘ですの。」

「私はお世辞など言いませんよ。すると、ギルマスの。」

「ええ、そうですわ」

「もしよければ、遊撃に入ってくれませんか」

「「もちろんいい(です)よ」」

「それでは、これからよろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いいたします」

「はい、今後ともよろしくお願いします。」

あの天啓から数ヶ月が過ぎ、私はこの世界で生きていく上で一番必要な、仲間と居場所を手に入れました。


執事編、第壱幕、終

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