第8話 治療と退院(?)
目が覚めるとそこは医務室のようでした。隣にはなぜか、『王』であるマスターがいます。
「おはよう。調子はどうかな?」
「はい、やはり最初の言葉通り『時見』には勝てなかったですね。」
「いや、あれでも善戦したほうさ。下手をすると殺されてしまうからね。」
「え?そうなんですか?」
『ああ。あれも我には勝てぬが。』と、どこからともなく響いた声に疑問符で頭を一杯にしていると、マスターが教えてくれた。
「彼は内藤巖次。強面で寡黙な人だが、意外といい人だよ。ちなみに、
「急に位階差を利用した強制通話を通してくるのはやめてくださいといったでしょう、内藤さん」…この声は?
『聞いていない』
「そして、起きたのなら起きたと言ってください、ギルマス。私はこの方の主治医なのですから。あと内藤さんをいい人、と言えるのはギルマスだけです。」…どなたでしょうか?
「すまんな、小出女史。おお、そうだ。成田くん、紹介しておこう。彼女はギルド専属医師、小出真白さんだ」「えっと、初めまして、小出先生。これからよろしくお願いしますね。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。起きられたようなので帰って大丈夫ですよ。」…そのおくすり、大丈夫なのでしょうか。治ったら起きるとかあります?
「では、私はこれにて失礼させていただきます。」
そう言って部屋を出て行く彼女を見送りつつ、高坂マスターと今後について話します。
「君はサード撃破、と言う成績でこの【ギルド】に入るわけだが、今日からお世話になる宿はあるのかな?」
「いえ、ありませんが……」
「そうか、なら我が【ギルド】の寮に来るといい。君は、これから少なくとも高位の位官として入るわけだから、近くにいたほうがいいと思う。」
「初耳なのですか?ありがとうございます」
「うん、それじゃあ行こうか。」
そう言われて私はマスターに連れられて【ギルド】の寮に向かいます。
その道中、私は彼に話しかけます。
「マスター。」
「ん?なんだい?」
「私はまだ、あなたのことをあまり知りませんし、信用できるかも分かりかねています。それでも、私を受け入れてくれたこと、感謝しています。」
「そうかい、それはよかった。」
そうして、私は【ギルド】の寮へと到着しました。「ここが君の部屋だ。自由に使ってくれて構わないよ。それと、明日から仕事があるから、今日のところはゆっくり休むといい。」
「わかりました。色々とありがとうございました。」
「うむ。じゃあまた明日会おう。」
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