第四話 ーこれからの自分ー
戦いのさなか目覚めた”血技”。
思い出した自身の”欲望”。
これから僕のやるべき事が分かった気がする。
僕の家族の命を奪ったあの吸血鬼を倒す事が僕の強く願った欲望だって事が。
あの頃の僕には倒す事もましてや守る事さえ出来ないひ弱な存在だったけど、今の僕なら力がある!
この力を磨き戦い方を身につければあるいわ。
今やるべき事は分かった、力を付け情報を手に入れること。
狐の様な見た目をしたあの吸血鬼の。
「血技にも目覚めた事だ、全力でこいよ! 血液使用ギリギリまで能力全開でやってやる!!」
「は、はい! 今出せる全力で頑張ります」
「あーあ、昔の血が疼いちゃってるなぁ、刃」
「昔何かあったんですか? 刃さんって 」
「昔ヤンチャしてたんだよ」
「余所見してる余裕がよくあるな!」
両腕を合わせ床を踏みしめおもっきり蹴ると急接近し、腕と腕を離した間に網状の刃が護の喉元を狙う。
──が、それを察し間一髪の所で喉元を自身の血液で硬めて防ぐ。
あ、危なかった。
血道術で視力に集中させてギリギリ追いつけたけど、なんて速さだ。
「ほう、速さに特化したこの刃じゃその防御は崩せなかったか」
「ギリギリでしたよ。血道術を使ってやっとでしたから」
「どれくらいの硬度があるか俺が調べてやるよ!」
刃を通常の赤い刃に変え腕を振り下ろし続け猛攻。
腕を血液で纏い刃の猛攻を防ぐがしだいに耐えられなくなってきた
やばい、このままじゃ僕の
「おらおらおら!!── これでも耐えられるか!?」
えっ!? それは流石に無理があるでしょ!
両腕を天高く掲げそれを覆うように血液が蠢き巨大な大剣の形に変形──それを護目掛けて振り下ろされる。
「くらえおら! 『
──見かねた佳奈が護の元に駆け寄り血技『
「危なかったぁ。──やり過ぎだよ刃!」
「わりぃ、熱くなりすぎた。どうだ? 自分の血技について分かった事あるか」
「そうですね。──血液の使用量でこの能力の硬度が変わるみたいです。どうにか工夫すれば攻撃にも使えると思いますね」
「そうか。訓練のしがいがありそうだな」
「僕は取り敢えず基本的な格闘の術を学びたいと思います。今日はありがとうございました」
「明日からのバイトもよろしく頼むぞ」
鳥籠を後にした時には夕暮れ時になっており。
その足で本屋に向かうと使えそうな格闘技の本をかたっぱしから買い占め、それを手に家へ向かって歩を進めて行った。
家に着くなり食事をする事を忘れ買ってきた本を読み進め、気が付くと窓から日差しが差し込む。
やばっ! もうこんな時間だ。
少し寝てからバイトに向かわないと身体がもたない、訓練もあるのに。
──寝起きある程度の支度を済ませると急いで鳥籠に向かい制服に着替えると厨房に入る。
仕込み作業を刃とこなしていき時間と共に店を開店。
お客様が来ると護はホールに出てテキパキと注文をとり、作られた料理を配膳していく。
昼頃になると佳奈が店に合流し、雪崩のようにくるお客様を捌いてようやく休憩がとれるようになり、佳奈と護が休憩室へ。
「疲れたー!! 休日だから余計に客が多かったね。初めてのバイトなのに大変だっでしょ?」
「そうですね……。確かに久々のバイトでしたので余計に疲れました」
「そうだ! 護にこれ渡しとくよ」
血液の入った小瓶に分けられた三本を手渡した。
「ありがとうございます。でも、中々抵抗ありますね、血液を飲むという行為は」
「まぁ、そこは慣れだね。血液は吸血鬼の身体を保つ為の他に血技を使うと血液を消費するから戦いにも必要になってくるんだよね」
「そうなんですね。大事に使います」
「思ったんだけどなんで敬語なの? 私達同学年だし年齢も近いじゃん?」
「昔やってたバイトの癖というかこの方が楽なんですよ。慣れてきたらタメ語で話すと思いますけど」
「ふーん、そういうもんなのか」
休憩が終わると二人は一階へと降りていき、ラストまで仕事をこなしていく。
閉店時間を迎えると看板の電気を消し、残りの片付けを済ませると仕事着から動きやすいジャージ姿に変え地下一階のトレーニングルームに向かった。
昨日と同様組手での特訓。
いつものように刃は血技『
繰り出される数々の斬撃を避け続けるながらも読書で習得した格闘技の術をだしていく。
それでも全ての攻撃は刃にいなされ躱され反撃をくらう。
「頭で考えてるようじょまだまだだ。頭で覚えたものを身体にシミ付けろ」
「分かりました!」
数時間組手をしていくうちに少しずつではあるが、多少形になっていくのを感じる。
「多少だがマシにはなったか。あとは実戦に近い戦い方をするぞ」
「──実戦?」
「あぁ、俺達以外にも吸血鬼のグループが居るといったろ? その中でも敵対してくる者もいるからな。それも想定して明日は昔馴染みの所にで向こうと思う」
「その間お店はどうするんですか?」
「佳奈に全てを任せる! 猫又のやつまた遅刻してきたからな」
「中々に非情ですね、明日は日曜だというのに」
「前にも言ったが遅刻してきたあいつが悪い!!」
内心佳奈に同情しながらトレーニングルームに設備されたシャワー室で汗を流し、帰り支度を済ませると二人に別れを告げ自宅へと帰って行った。
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