第4話 父の奮闘

コロナ禍で実家に行けない期間、我が家は大変なことになっていたのは、前回までのお話のとおり。


母が認知症になったことで、実質的に父が母と寝たきりの妹の面倒を見ていた。

しかも、両親は70代。

サラリーマンのころは家事を一切していなかった父だが、妹が寝たきりとなったときから家事を手伝うようになり、母が認知症になってからは父がすべての家事をこなしていた。


私が実家からSOSを受け、久しぶりに訪れた22年1月。

父は杖をつき、息が荒く、足取りは鈍かった。動きがゆっくりであるがために、一日でこなせる家事の量が限られ、洗濯物やごみの量が増えてしまい、実家はごみ屋敷状態となってしまった。


わがままな妹の罵声を浴びながら黙々と家事をこなし、母と妹に食事を与える父。

父自身の食事は後回しになってしまうため、常にお腹が空いた状態。

父があまりにつらそうな呼吸と動きなので、話を聞いてみると、

「足がパンパンにむくんで、足が上がらないんだ」

「少し歩くだけで息が切れる」

あまり体の症状を訴えない父が珍しく素直に話すので、余程我慢していたのだろう。

見ていてもつらそうなのが分かった。

病院に行くよう促し、かかりつけの診療所に行かせると、

「入院を要する症状で早急に検査が必要です」とのこと。

緊急で近くの総合病院を受診し、即日入院となった。


治療を要する体を我慢しながら家族の世話をしていた父。

もう少し発見が遅れていたら、救急搬送されてもおかしくない状況だったと言われ、もっと早く実家に強引に言っていればと後悔してもしきれない。

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母が認知症になりました おおくまとみこ @yuyukoala

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