第53話 ラムネちゃんのささやかな夢
リリーシアが寝た後も、しおりんやマルネちゃんが私の部屋に来てくれたけど……隣のベッドに寝ている二人を見て察したのか、静かにドアを閉めて帰っていった。
ドアの隙間から覗くしおりんは、目で……後で説明しろよって言っていた。
マルネちゃんは、いつもより無言でドアを閉めていった。
ああ!絶対にフォローしないとダメなやつだ!?
同室のリリーシアがいるから……私の部屋でエッチな事が堂々と出来なくなったので、マルネちゃんの部屋と……しおりんの部屋に私が行かなくてはならなくなってしまった……と言う事になる。
これは、かなりハードルが高い……。
私がしおりんの部屋に行った事は……無い。
マルネ先輩の部屋では……うん、したよ?
マルネちゃんは、私の婚約者だから?
マルネちゃんの部屋は隣だけど……あれ?そう言えば……私、しおりんの部屋の場所……知らないよ!?
マリィ様の部屋の近くって事は聞いたような気がするけど……。
実際に、どこの部屋なのかは分からなかった。
しおりんは、いつも私の部屋に来てくれるし……私がしおりんの部屋に行くことも無かったので、全く気が付かなかった。
まぁ……今度聞いてみよう……うん。
そして……色々考えているうちに眠くなって……気が付いたら朝になっていた。
「あふぅ!……んふ……良く寝たでふぅ……ん?」
「むにゃ……お姉様ぁ……」
「ちょっと……リリー?リリー!?起きるでふ!」
「んん……!?……お、お姉様!?」
私は、隣のベッドの二人に起こされた。
「おはよう!リリーシアと……お姉様?」
「ここは……どこでふ?……確かラムは、病気で倒れて……ここは、病院でふ?」
「お姉様……生き返って良かったです!お姉様が生きてます!」
「まさか……ラムは、生き返った……でふ?」
ちょっと語尾が怪しいけど……リリーシアのお姉様は、しっかりと生きていた。
私は、生き返ったリリーシアのお姉様に事情を説明した。
「そうでふか……ラムは、病気で亡くなったでふね……」
「お姉様!メリッサ様が生き返らせてくれたんですよ?」
「貴方は……天使様?女神様でふか?」
私の翼は、まだ背中にしっかりと生えていた。
「私は、聖女メリッサ……一応、リリーシアの伴侶です……」
私は、聖女の基本魔法を全てマスターした事で、本当の聖女になる事が出来た。
だから……自信を持って言える。
私は聖女だって。
女神としては……半人前どころか……なったばかりで何も出来ないし……器だけ大きくなった仮女神なので……私は女神ですなんて言える訳が無かった。
「そうでふか……リリー?良い人と巡り会えたでふね?……良かったでふ」
「はい!お姉様!」
「もう……心残りはないでふ……リリーが幸せなら……天使様……天国があるなら連れて行って欲しいでふ……」
「いや!死なないよ!?もう、死なせないから!!」
リリーシアのお姉様は、まだ自分が生き返った事が、一時的な奇跡のように思っているみたいで……自分が死んだ事を受け入れてしまっていた……。
語尾がおかしいのは……多分、私の回復魔法が未熟だったせい……。
もっと、上位の回復魔法だったら……。
私は、ダメ元でもう一度、リリーシアのお姉様に回復魔法をかけた。
これではダメ……もっと、もっと!お姉様の舌が治るくらいに!!
たぶんお姉様の舌は、欠損があるんだと思う。
私は上位回復魔法のレベルまで……回復魔法を重ねがけしたけど……欠損までは治らないみたいだった。
やっぱり、マリィ様にお願いし……。
そう思った時、マリィ様から頂いた魔力が……私に教えてくれた、
再生魔法?
これなら!治せるかもしれない!
私は、私の中に宿った再生魔法をリリーシアのお姉様にかけてあげた。
すると……。
病気によって抜けていた髪の毛や……見えないけど舌が再生されているはずだった。
「あ……か、髪の毛が元に戻ってるです?」
「お姉様!?声が……声が……治ってます!」
「え!?本当……声が……ラムの病気は治ったんです?ラムは、生きててもいいんです?」
「そうだよ!?生きようよ!生きる希望がないなら、私が希望になるし!私が幸せにしてあげるから!私と一緒になって幸せになろうよ!!」
あ……最後に本音が出てしまったけど……私が言いたい事は、伝わったみたい……。
「うう……そんな事、言われたのは初めてです……幸せになるのはラムの……ささやかな夢だったんです」
お姉様はそう言うと、私を真っ直ぐに見つめて真剣な顔を見せた。
「聖女様……ラムは、今は亡きライルネス男爵家の長女……ラムネシア・ライルネスです。歳は十四歳です……今更ですが、妹共々お世話になるです……そして聖女様……ラムなんかの為に……ラムに、新たな命を下さって……本当に……本当にありがとうです!」
「うん……ラムネシア様を助ける事が出来て、私も本当に良かったよ?」
「そんな……様なんて付けないで欲しいです。ラムなんか、ラムネで結構です!」
「ええ……それじゃラムネちゃんで?」
「はい♡ ……ラムネちゃん……良いです♡ぽ♡」
「リリーも!リリーシアじゃなくてリリーって呼んで欲しいです!」
「うん、それならこれからは、リリーでいい?」
「はい♡」
ラムネちゃんは、エメラルドの瞳をしていて、小さくて……胸も小さくて、とても可愛い女の子だった。
リリーと比べても同じくらいじゃないかな?
ロリロリと、いい勝負かもしれない。
そして、薄いピンクの髪は……しなやかで胸を隠すくらい長くて綺麗になっていた。
十四歳か……私の二つ上という事は、シャーネル様と双子の姉達と同じ年齢になる。
でも……学園には通って無さそうなので……入学するとなると一年からになるのかな?
でも……取り敢えず、姉妹という事なので、これからも、リリーと同じベッドで寝てもらう事になりそうだった。
となると、私のルームメイトは、もう一人増えてしまう事に!?
それに、学園に通うには貴族にならないといけないので、私の家族になってもらう必要があった。
「ラムネちゃん?私と結婚するよね?」
さっき、プロポーズした感じになっていたので……私は確認の為、ラムネちゃんに聞いてみた。
「もちろんです♡ラムを幸せにして欲しいです!」
うん、これで……また嫁が増えちゃった?
コンコン!
これは、ロザリー様からの合図だ。
「はい!どうぞ?」
ロザリー様の部屋のドアが開くと……また、ジト目のロザリー様と目が合った。
「お腹が空いたかしら?」
そうだった!?
ラムネちゃんは、復活してから起きたばかりで……何も食べていない。
絶対にお腹を空かせている筈だった。
読者様へ
ここまでお読みいただきありがとうございます。
お姉様は、ラムネちゃんでした。
ラムネだけに甘くて小粒で美味しいです?
続きが気になると感じて下さいましたら、
☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。
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