第51話 マリィ様への報告と驚愕の事実


 私に翼が生えて混乱している間に……マリィ様達は、学園から帰って来ていたらしい。


 私は困っていた。


 背中に生えた白い翼が消えてくれないから。


 これでは、部屋から出れないし……外出も出来ない。


 ステータスばかり大きくなって、使える魔法が少ない私には、翼をどうこうする手段がなかった。


「本当にどうしよう……」


「どうしたのかしら?」


 そういえばロザリー様には翼が無いような……。


「この翼が邪魔で……」


「そんな事、簡単なのよ?」


 ロザリー様がそう言うと、ロザリー様の背中から、私と同じ白い翼が生えて来た。


「こんな感じかしら?」


 うん、全然分からないよ?


 どうやら……ロザリー様は、普段は翼を隠して?いるらしい。


「翼は、隠しておかないと……服が着れないかしら?」


「ええええ!?」


 服が着れない!?


「冗談なのよ……翼は、服を避けてくれるから気にしないで良いのよ?」


「え?服が裂けるんですか?」


「……服は破れたりしないのよ」


 私は、裸のままだったので……試しに脱いだ服を着てみた。


「え?すり抜ける?」


 背中に生えた翼は、まるで……そこに無いかのように、服をすり抜けていった。


「ロザリー様!?ちゃんと着れました!!」


「だから、言ったのよ?」


 良かった……これで、取り敢えず部屋から出ることが出来る。


 翼は隠せないので……私は、周りを気にしながら……リリーシアを連れて、マリィ様の部屋に移動する事にした。


 屋敷の中なら……大丈夫だよね?


「あの……メリッサ様?大丈夫ですか?」


「リリーシア♡心配してくれて、ありがとう!頑張るよ?多分?」


 リリーシアの前で、いつものように……無理ぃ……とは言えなかった。


 頑張れない私が、頑張るなんて……。


 以前の私では、考えられない事だった。


 でも……今の私には、守りたい人達がいる。


 大切な人が……いっぱいいるから……。


「多分ですか?」


「ううん!絶対に頑張るから!」


 取り敢えず今は、マリィ様に報告しなければならない。


 リリーシアの事と……この翼の事。


 何故か、マリィ様ならなんとかしてくれる……そんな気がした。


 マリィ様の部屋は、二階の反対側にあるけど……無事、誰にも会う事なくマリィ様の部屋の前に着いた。


「ふぅ……リリーシア?マリィ様は、ここのご主人様だから」


「はい……」


 リリーシアの表情がちょっと固くなっているので、少し緊張しているようだった。


「マリィ様は、優しいよ?」


「……ふぅ、緊張します」


 コンコン!


「マリィ様♡メリッサです!」


「やっと来たわね……入って良いわよ?」


 マリィ様の許可が出たので、扉を開けて部屋の中に入ると、マリィ様は何かを縫っていた。


「何を縫っているんですか?」


「パンツよ?そろそろ必要かと思って?」


 そして、マリィ様が顔を上げて私を見た瞬間、マリィ様は目を丸くしていた。


「メリッサ……一応聞くけど……その翼は、飾りじゃ無いわよね?」


「飾りだったら、とっくに外してますよ!?」


「そう……メリッサも女神になったのね?……それにしては早すぎるわね……私だって何年もかかったのに……それに、メリッサは、神レベルには、まだ全然届いていなかったはずなのに?」


 メリッサも?私だって?


「マリィ様?」


「ああ……メリッサには、言ってなかったっけ?私も女神なのよ?ほら!」


 マリィ様は、そう言うと……ロザリー様と同じように背中から翼を出して広げて見せてくれた。


「えええええええええ!!??」


 私は、自分が女神になった事よりも、マリィ様が女神様だった事の方が驚きだった。


「マリィ様が、女神様!?」


「そうよ?まぁ……昔は女神ユリィなんて名乗ってたけど?最近は、女神マリィで活動してるわよ?」


 聖女マリィ様は、女神マリィ様になっていた。


「はぁ……やっと、理解しましたぁ!」


 今まで、そんな事ある訳無いって流して来たけど……マリィ様が女神なら、全て説明がついてしまう。


「それで、どうやって女神になったの?」


「それが……」


 私は、ロザリー様が召喚した魔物の小さなトカゲを昇天させた事で、信じられないくらいレベルアップした事、ロザリー様とリリーシアと一緒に婚姻の儀式をした時に、ロザリー様の魔力に包まれて気を失った事を説明した。


「それで、気が付いたら翼が生えていたんです……」


「大体、分かったわ?ロザリー様は、かなり高位の女神様のようね……結婚したなら、ロザリー様の事、大切にするのよ?」


「はひぃ……」


「ところで、さっきから気になってたんだけど後ろの子は?」


 私の後ろには、リリーシアが隠れていた。


「この子は、リリーシア。元貴族の子なんですけど……両親はいなくて、お姉さんも……一ヶ月前に亡くなって、一人で生活していたのを見つけたので……そのまま連れて来て、一緒に学園に行くために、私の嫁にしました!」


「よく言い切ったわね?良いわよ?一緒に住むんでしょ?」


「はひぃ……」


「そうね……暫くは、同じ部屋で過ごして貰おうかしら?ベッドは運んで貰うから?」


 ロザリー様はダメで、リリーシアは同室でいい理由は何!?


「突然、知らない家に来たんだから、嫁の世話は自分でするのよ?」


「はひぃいい!!」


 こうして、私の嫁になったリリーシアは、私と同室で暮らす事になった。


 ルームメイトなんて……学園の寮と変わらない気がするんだけど……気のせいだよね?








 読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。


ついに……同じ年のルームメイトが出来ました?


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る