第50話 ロザリー様と婚姻の儀式


 マリィ様が帰って来るまで、私はリリーシアをお風呂に入れたり、髪を洗って整えたり、自分の部屋でリリーシアにドレスを着せたりして過ごした。


「思った通り!可愛いよ?リリーシア♡」


「そうですか?……ありがとうございます……また、ドレスを着れる日が来るなんて……思ってもいませんでした……」


 私は、リリーシアを自分の恋人兼家族にするつもりだった。


 今の学園の一年生は、私一人しかいない。


 でも……私が二年生になってしまえば、一人もいなくなってしまう。


 そもそも、何で生徒が私一人だったのか?


 いつも、疑問に思っていた。


 でも、いるじゃない?ここに!もう一人!


 私は、リリーシアと一緒に学園に通いたかった。


 二年生への飛び級は辞退して、リリーシアと同じクラスになれれば、絶対にそっちの方が良いと思った。


 コンコン!


 ロザリー様の部屋に繋がっている扉からノックの音がした。


「流石に暇かしら?」


「ロザリー様!今開けます!」


 扉を開けると……ジト目のロザリー様と目が合った。


「どうぞ?」


「今度から、外出する時は、連れて行って欲しいのよ?」


「はひぃ……ごめんなさい……」


 私は、書物の女神様を連れて歩くなんて考えもしていなかった……。


 何もない部屋に一人でいる女神様が、暇を持て余していたのは、考えれば分かる事だったのに……。


「それに……一緒にいれば、メリッサの力になれるかしら?」


「ありがとうございます!」


 女神様が一緒にいてくれれば……トラブルに巻き込まれたとしても、何とかしてくれるかもしれないし……とても心強い。


「あの……紹介して貰えますか?」


 そうだった!私は、リリーシアを紹介するのを忘れていた……。


「リリーシア?こちらの方は、隣の部屋のロザリー様で……」


「メリッサの伴侶なのよ?」


 女神様と説明しても分からないだろうし?


 私は、名前だけを紹介することにした。


「伴侶という事は、そうなんですね?」


 何をワクワクしているのか……リリーシアは、何かを想像しているようだった。


「まだ、エッチな事はしてないから?」


 女神様相手に……私は、出来るのだろうか?


「まだ……と言う事は……」


 想像しなくていいから!?


「だって、昨日出会ったばかりだし……」


「六百年で、初めての来客だったのよ?メリッサこそ、あたしの伴侶に相応しいかしら?」


「出会って、その場で結婚!?あわわ!!もう!運命の出会いだったんですね!?うひゃあ!!」


 リリーシアは、一人で盛り上がっているけど……ロザリー様との出会いは、本当に運命的な出会いだったと思う。


「リリーシアとの出会いも……私は、運命だったと思うよ?」


「はう♡メリッサ様♡リリーも、メリッサ様の伴侶になりたいです!」


 伴侶かぁ……メリッサは恋人兼養子にしようと思ってたんだけど……表向きだけ養子って事にして……私との婚姻で貴族にしちゃった方がいいのかな?


 今のところ、リリーシアは平民なので……私と極秘に結婚していても、公開する必要は無いし……。


 これが、貴族同士の結婚となると……大勢の人を招待して式を挙げたりしなくてはならないので……とっても面倒な事になる。


 だから……。


「リリーシア♡今すぐ私と結婚しよう!」


「はい!嬉しいです♡」


「結婚するなら……女神として、あたしが祝福するのよ?」


 書物の女神様が結婚を祝福してくれるなら、神前式の結婚になるのかな?


「ロザリー様♡ありがとうございます!」


「ついでに、あたしとの婚姻の儀式も一緒にするかしら?」


「はひぃ♡」


 そう言えば……ロザリー様は、自称伴侶になっているけど、私とは結婚の儀式?をしていなかった。


「それでは、二人とも服を脱いでベッドに横になるのよ?」


「「ええ!?」」


 聞き間違いじゃなければ……服を脱ぐように言われたんだけど!?


「大丈夫……あたしも脱ぐのよ?」


 そっちの大丈夫!?


 ロザリー様とリリーシアは、早速服を脱ぎ出してしまった。


 どうやら……私の聞き間違いでは無かったみたい……。


「何をしているかしら?早く脱ぐのよ?」


「えっと……どうして脱いでいるんですか?」


「誓いのエッチに、服は邪魔かしら?」


「誓いのエッチ!?」


「それに……相手の魔力を感じるには、肌と肌の触れ合う面積を最大にした方が、効率がいいのよ?」


 ロザリー様が言っている意味が良く分からなかったけど……。


 今からする事は、理解出来た。


 リリーシアとロザリー様に順番にキスをして……私達は、お互いの身体を重ね合った。


「リリーシア♡ん……ちゅ♡……ちゅちゅ♡」


「メリッサ様♡……ああ♡」


「ん……ロザリー様♡……んん♡」


「あん♡……聖女の魔力を感じるのよ♡」


 ロザリー様は、経験は豊富……な訳無いか……。


 あんな攻略不可能な迷宮の奥に一人で住んでいたくらいだし?


 そんな私の考えを読んだのか……。


 ロザリー様は、私に打ち明けてくれた。


「もちろん……あたしは、処女なのよ?」


 私は、マリィ様に捧げてしまったけど……処女膜は元通りなので、処女と言えるかもしれないけど……。


「リリーも!しょ処女でしゅ!」


「うん……分かってるよ?」


 そして、私がロザリー様と抱き合って、ロザリー様の魔力を感じた時だった。


 ロザリー様から溢れ出した魔力が、私の中に浸透して……私は、ロザリー様の魔力に包まれてしまった。


「やっぱり……聖女は神の器として優秀かしら?」


 神の器?何の事!?


「あたしの伴侶になったメリッサは、女神になるかしら?」


「え?」


 ロザリー様が何を言っていたのか理解出来ないまま……私は気を失ってしまった。


◇◇


「……」


「………」


「ん…………」


「目が覚めたかしら?」


「メリッサ様!!」


 私が目を開けると、ロザリー様と泣き顔のリリーシアが横に立っていた。


 私は、ベッドに寝ているようだった。


 でも、何かいつもと違う……。


 なんだろう?


 背中が痒い?


 私が背中を掻こうとすると……何か鳥の羽?のようなものが手に当たった。


「何?羽毛布団?」


 よく見ると……それは、私の背中から生えていた。


「えええええ!?何これ!?」


「メリッサは、神の資格を得て……あたしの伴侶になった事で、女神に進化したかしら?」


「はい?」


 ロザリー様は、何を言っているんだろう……。


 私が、女神になった?聖女にも、なり切れていない私が?


 それは、絶対にあり得ない事だった。


「うわぁ……すごいです……メリッサ様に白い羽が生えてます」


 リリーシアにも見えてる?


 ……と言う事は?

 

「え?嘘でしょ?」


「神の世界に、ようこそなのよ?」


 本当に!?


 マリィ様に、どう説明すれば!?


 というか、この羽!翼!?消えないんだよ!?


 私はこれから、どうすればいいのぉぉぉぉぉぉ!!?


 私の声にならない絶叫を……聞く人はいなかった。








 読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。


もう、想像通りです……女神化は避けられません?


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。

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