第37話 サイズの町



「領主様は、空もお飛びになられるのですね?」


「マリィでいいわよ?」


「マリィ様でよろしいですか?」


 私達は今、空を飛んでいた。


「いいわよ?」


 私達は、エミリィを連れてサイズの町に向かっていた。


 サイズの町は、テルミの村から東の方角に向かった所にあり、ターコイズ公爵領との境に、ほど近い場所にあるらしい。


 多分ターコイズとの交易で大きくなった町なんだろうけど……。


「税が高すぎては、交易もうまくいくはずがありませんし、関所があるので物価がどうしても高くなります」


「テルミ村ではどうだったの?」


「テルミ村は、クラディア領のパルメ村が近いので、そこからの仕入れはいいのですが、売りに行く事は出来ませんので……北の魔物の森で、狩猟などを行っていました」


 なるほど、狩猟ならば税金を取られることも無いのね?

 仕入れは出来るなら、外部の商人は通していたのかしら?


「そろそろ到着するよ?」


 私はエミリィと一緒に、高度を下げていった。エミリィは責任をもって私が抱えている。


「すごい早いですね!?もうサイズの町が見えてきました!」


「エミリィは、サイズの町に行った事はあるの?」


「はい……一度だけ……でも小さい頃なので、もう覚えていません」


 なら、エミリィに頼る事は出来ないわね……。


「そうね……エミリィは付いてくるだけでいいからね?」


 もう、私のエミリィを傷つけたりはさせないわ!


 私達は、サイズの町の近くで降りて、徒歩で町の門まで歩いて行った。


 サイズの町は農村ではなく、商人の町のようで、一応城壁のような物で囲われていた。


「そこそこの大きさの町ね?」


 ただ商人の町だったら、売り上げの8割は無理だろう、でも利益の8割を取られたら、絶対に商売にならない。まだ商売しているという事は、裏に何かあるはずだ。


 今回は調査になるので、門番に入町料を払って町に入った。


 入町料は、銀貨2枚と高かったけど、多分外に出るにはその倍は必要になるのだろう。

 関所に加え、町に入るにもお金を取るのは酷すぎる。


「調査開始よ!」


 なぜ税率が高いはずなのに、この町は平然としているの?

  

 怪しいのは、徴税官と町長とこの町の大商人あたりかしら?


 売上をごまかす程度の事はやっていそうだ。


 まずは町長をおさえて、商会を全て調べるしかないかな?


「まずは、町長の家を抑えるわよ?」


 聞き込みをして、町長の家を特定してから、私は、庭を含め結界魔法で誰も外に出られないようにした。


 さらに、悪人だけをはじき出す例の結界を町長の屋敷にかけた。


 これって悪い人を特定するのに便利なのよね?


「なんじゃなんじゃ!ん!?ん!?」


 なんか白髪のおじいちゃんが出て来た。


「どうやらこいつが町長のようだな?」


「そのようですね……」


「この人が?町長?」


「なんじゃ!これは貴様らの仕業か?うん?」


「この極悪人を捕縛して?」


 アマンダお姉様が町長を捕縛すると、私は自白魔法を使って聞き込みをすることにした。捕縛には土魔法を使用している。


 なるほど、徴税官には口止め料を払っているのね?


 何?奴隷の斡旋?町長には奴隷商から奴隷が渡されているようね……しかも若い女の子ばかり……。あと商人を取りまとめているのが商業ギルドのギルド長で……商業ギルドからも賄賂を受け取っているの?


 となると、そのギルド長も怪しいわね……。


 奴隷商も許せないけど……。まずはその町長の所にいるらしい奴隷の回収ね!


 女の子なら、尚更なおさらよ?


「奴隷を回収するわ!セルフィー付いてきて!」


「行きましょう!」


 町長宅を捜索すると、居間に一人裸の少女が寝ていて事後のようだった。

 さらに、地下室を発見してその中には……幼い少女から20歳くらいの大人まで5人の少女の奴隷が檻に入れられていた。


「助けに来たわ!もう大丈夫よ?」


「あ……ああ……」

「ううう……ああ……」

「…………」


 駄目だ衰弱しているわ……。意識が無い女の子もいる。

 気を失って倒れている子もいる。


「奥に……まだ……」


 え?まだいるの?


「セルフィー!奥に!」


 私はセルフィーさんと共に、さらに奥の部屋へと入って行った。

 

 そこには、たくさんの拷問器具と共に……一人の少女が息を引き取っていた。


「ひ……酷い……何よこれ……」


 私は涙が止まらなかった……。まだ私と同じくらいの銀髪の女の子は、耳が長くエルフの少女だった。


「くっ……許せん!……あの爺!」


 セルフィーさんの顔は怒りに染まっていた。 


 私は迷わず聖女の力を解放した。


 使うのは、蘇生魔法、状態異常回復魔法、浄化魔法、修復魔法、上位回復魔法の全ての魔法をそのエルフの少女にかけてあげた。


 お願い!この子を助けて!だめなの?


「お願い!クロッティ!力を貸して!」


 すると、銀髪碧眼の女神クロッティが白い翼を広げて顕現した。


「どうした?マリィ?」


「お願い!この子を助けて!」


「ちょっと時間貰うけどいい?マリィの力かりるねぇ」


「うん!」


 すると、クロッティはエルフの少女の周りをぐるぐると回り、その手に集めた女神の力をエルフの少女に与えていった。


「ふぅ……疲れたぁもう大丈夫だよ?」


「ありがとう!クロッティ!愛してるわ!」


「もう!今度相手してよぉ?」


「分かったわ♡」


 女神クロッティは、私と愛し合う約束をすると帰っていった。


 エルフの少女の足かせや奴隷の首輪などを聖女の力で外して、セルフィーさんに任せると、私は檻に入っている5人の為に、檻の鍵を開けて……聖女の力を解放した。


「おまたせ!もう大丈夫よ?今助けるわ!」 


 まずは足かせと首輪の効力を無くすために、浄化魔法をかけ、状態異常回復魔法に回復魔法、修復魔法とかけて行った。


「あ……治ってる」

「……ん?おはよう?」

「すごい傷が消えた?」

「…………あ……」

「助かったの?……」


「みんなよく聞いて?これから移動するから付いてきて?」


 もう一人、助ける女の子が残っていた。そう、居間に倒れていた女の子。


 5人の女の子(大人含む)を引き連れて居間に戻ると、裸の少女はまだ寝ていた。


「ひどい……」


 多分この5人の少女達も同じ目にあっているのだろう。  


 私は裸の少女に聖女の魔法をかけてあげた。浄化魔法に回復魔法だ。


 すると、裸の少女が目を覚ました。 


「ひぃいいいい!御免なさい!もうゆるして!ごめんなさい!ごめんなさい!」


 裸の女の子はまだ、手を振り乱して混乱しているようだった。


「落ち着いて?私を見て?」


「……あ……女の子?」


「もう、大丈夫よ?私は貴方たちを助けに来たの」

 

 すると、あとから来たセルフィーさんと、エルフの女の子も居間に入って来た。


「掴まっていた奴隷の女の子はこれで全員かしら?」


「はい……生きているのは……」


 生きているって事は、死んだ子もいるのね?


「私は、ここの新しい領主!マリィ・エイシェルト辺境伯よ?悪い人は全部私がやっつけてやるわ!だから、もう安心していいのよ?」


「「「「「「「ありがとうございます!」」」」」」」


「それで、貴方たちの処遇なんだけど……もう奴隷からは解放したけど、うちで働かない?」


 そうよね……答えづらいよね?


「じゃ!私と一緒に来たい人は手を上げて!」


 すると、ひとりひとりと、周りを気にしながら手を上げていった。


 全員が手を上げたので、私は全員を連れて行くことにしたのよ?






読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。

これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。


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