第34話 新しい家族とメルネス子爵の噂



 領主の館の制圧と共に、推し進めていたのが「姫蜜百合の会」の本部移設で、そっちの方は私に忠実な信者達に任せている。


 子供が欲しいとかの信者のお願いがあれば、支部に設置した通信魔道具により、私に連絡が来るようになっていた。


 支部への移動には、私の秘密道具を使用する。「開いてもボクっス」の中に仕舞ってあるその秘密道具の名前は、「転移の扉」。これはゲームを効率よく進めるために用意されていた移動装置で、どこで〇ドアのようなものだ。


 帝国領地内にあったもので、こっそり回収しておいたのだ。


 今日も、帝都の支部から連絡があり、子供を授かりたいとのお願いを聞き届けて、帝国の美少女の艶やかな姿を目に焼き付けてきたところだ。


 今日の女の子も可愛かった。赤いおさげを振り乱して、私の前で子供の儀を行ってもらったのよ?


 ついでに私も混ぜてもらう事もあるけど、基本私は女神担当の教祖様だから子供の儀の魔法をかけなければならない。


 女の子同士の儀式なので、希望によっては両方に子供を授ける事も可能だ。ただ同時だと産む時に大変だと思うので、なるべくなら時期をずらした方が良いと思う。


「ふぅ……今日のお勤めはこれで終わりかしら?」


「マリィ様?最近無理をなされていないですか?」


 セルフィーさんは、私を心配しているようだけど、これは私の趣味……もとい、私の義務なのよ?女の子の国を作るには、私が動くしかないの。


 ハゲ子が使っていた執務室は、今は私の部屋となっている。


 ハゲ子には、別に子供部屋を用意してあげたんだけど、早速メルティさんを連れ込んで、しっぽりしていたようだった。別に構わないけど?


 でも、ハゲ子の子供はもう作ってあげないよ?


 内緒でメルティさんに私の子供を授けても良いけど……。


 ……うん、それいいかも?


 ふふふ……ハゲ子ばっかりにさせないよ?メルティさんを寝取ってあげないとね?


 生き返らせてあげたんだからそのくらいいいでしょ?



◇◇



 ハーゲスト一家を拘束してから、辺境伯家の交代劇は速やかに行われた。


 屋敷の中の使用人達と護衛を全て集めて、メルティとアミティア、キリシアは私の娘となった事を伝え、私が新しい領主マリィ・エイシェルト辺境伯であることを周知した。


 ハゲ子も一応娘という事にしてあるけど、正体は明かせないのでただの娘だ。


 使用人は全員そのまま働いてもらっている。そのうち私の専属としてサリィお姉ちゃんと、アンナお姉さんを連れてくる予定だ。


 私は執務室で、メルティさんとセルフィーさんとアマンダお姉様とで、書類の整理を手伝っていた。


「次は隣の領地、旧メルネス子爵領の確保ですね」 


 そうだ、忘れていた。私が貰った領地はもう一つあるんだった。セルフィーさんに言われて思い出したわ。


「メルネス子爵ってどんな人だったのかな?」


「あまりいい噂は聞かないねぇ」


 アマンダお姉様がそう言うなら、悪い人なのかもしれない。


「あの、マリィお母様?」


「なに?メルティ?」 


「メルネス子爵は、税率を上げ過ぎて領民からは、その……嫌われていたみたいです」


「税率ってどのくらいなの?」


「通常ですと3割徴収しますが、メルネス子爵は5割……多い時は8割も取られたと聞いた事があります……」


 何?その悪代官みたいな奴?


「もう、早く制圧した方が良さそうね?」


「苦しむ領民の為にも、それがいいねぇ……」


「アマンダお姉様?セルフィー行くよ?」


「分かりました!」「やれやれ」


 という事で、私は次の領地。旧メルネス子爵領の制圧を早めることにしたのよ?


「それじゃ、キリシア?アミティア?行ってくるわ」


「いってらっしゃい!新しいおかあさま?」


「…………ぃ」


 アミティアは恥ずかしがり屋なので、聞き取れなかった。


「また新しい娘を迎えに行ってくるわ」


 メルネス子爵には2人の娘がいるらしい。

 いい子だといいんだけどなぁ……。


◇◇



 旧メルネス子爵領は、旧クラディア辺境伯領の東側にある。どちらも海に面した領地で、旧メルネス子爵領は、旧クラディア辺境伯領よりも狭く、昔のセルクロッド子爵の領地程度の広さらしい。


 それでも、私にとっては十分な広さだった。


 また空を飛んで行く事も考えたけど、今回は隣の領地の全体を視察するので、馬車を使って移動することにした。


 領民の実際の姿をこの目で確認したいのもある。


 旧メルネス子爵領との境界に近づくと、街道の先に橋がかかっていた。


 なんだろう……普通の川じゃない……わざわざ掘り返して作ったような堀に橋が架けられていた。


「なんなの?これ?」


「関所のようですね……」


 すると、橋の周りに建てられていた家から役人のような人が出てきた。


「ケケケ……ここから先はメルネス子爵領だぜ?通るなら通行料を払って貰おうか?」


 はぁ?通行料?メルネスは、そこまでしているの?


「あなたは役人?それとも盗賊?」


「ケケケ……見りゃ分かるだろう?俺はれっきとした役人だ」


「ならば、あなたは今日でクビです。ここは、既に私エイシェルト辺境伯の領地です」


「んだと!この小娘が!俺はこれで飯食ってんだ!」


 どうやら、この小役人に話は通じないので、捕縛する事にした。


 掘ってあった堀は、埋め直して橋は壊しておいた。


「くそう!何なんだ!?お前ら!?」


「これと同じ関所は、あといくつあるの?」


「ケッ!……誰が教えるかよ?」


「死にたいようね?」


 アマンダお姉様とセルフィーさんが、魔法をちらつかせると……役人の顔色が変わった。


「おい!ちょ!ちょっと待ってくれ!!死にたくはねぇ!」


 関所の役人に聞いた所によると、ここと同じような関所は、あと9ヶ所もあるらしい。


 関所なんて作ったら流通にも支障が出るし、無駄と言うよりは邪魔にしかならない。しかも一人銀貨一枚も徴収していて、馬車なら銀貨十枚の通行料を取っていた。

 しかも、領地から出るには金貨一枚もの通行料を取っていたので、領民を逃がさない為の関所のようだった。


これでは、物価の値段に跳ね返るのが目に見えていた。


「無駄なものは、無くしましょう?」


「そうですね」


 もうこの辺りには何もなく、本当に関所しか無い。


「取り敢えず、この近くの町か村の様子を見てみましょう」


 拘束した役人を連結した馬車に乗せ、私達は近くにあると言うカラックという名前の村に向かった。







読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。

これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。

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