第25話 叙爵お披露目パーティー
帝国との戦争の結果、なんだかんだで子爵になってしまった私だけど、生活は今までと変わらない。
領地を持っている訳でも無いし、王都に屋敷を買ったりはしていない。
私はまだ十歳なので王都の魔法学校にも通っていないし、王都での生活に変化は無く今まで通りで、家名が変わっても爵位を持つ子供に過ぎない。
ただ……凱旋パレードに出席しろだの、叙爵したんだからお披露目パーティーをしろだの、周りの連中は結構うるさかった。
結局私は凱旋パレードのオープン馬車に乗せられ、王都をグルリと一周する羽目になった。
民衆から見たら、なんで子供が乗っているのか不思議に見えたんじゃないかな?
それから、私とセルフィーさんの貴族としての叙爵お披露目パーティーは、アランが用意してくれることになった。
女性が爵位持ちともなると、それを狙った貴族の三男坊や、四男坊が爵位欲しさに群がって来る可能性がある。
私は、女性同士で子供を作る国を作って、私が女の子同士で作る予定の子供は、その国の協力で出来たという事にしないと、私の子供が生まれた時に説明が付けられない。
そして、その前例として……帝国の
私が聖女である事は隠しているので、面倒な事は全て帝国に任せよう。
帝都などで女の子同士で子供が欲しいという願いがあった場合、教祖である私に報告が来るようになっていて、敬虔な百合信徒には、私の祝福により子どもを授けてあげる予定になっている。
そして女の子同士で子供が出来るという実績を積めば……。
王国での私と彼女達との子供が出来ても説明出来て、アンジェとライリーちゃんは、私が貰うって流れになる予定なのよ。
◇◇
そして、お披露目パーティーが始まった。
お披露目パーティーは王都のセルクロッド伯爵邸にて行われた。
セルクロッド伯爵邸でパーティーを開く事で、新しい子爵と男爵は、セルクロッド伯爵の庇護下にあるという事、寄子である事を周囲の貴族に知らせる意味合いもあるらしい。まぁ私の場合、実際に親子関係なので特に問題はない。
要するに派閥と言うものなのかな?よく分からないけど。
しかし、今回の英雄の叙爵パーティーという事で、知り合いの参加は当然として、思いもよらない参加者が続出してしまった。
そう、遂に……このゲームの攻略対象者達のオールスター戦が始まってしまったのよ?
「それでは、新たな英雄マリィ・エイシェルト子爵と、セルフィー・エイシェルト男爵の叙爵パーティーを開始いたします」
司会を務めるのは、アンナお姉さん。私の嫁第一号だ。
大きな拍手と共にパーティーが始まった。
「まず初めに国王様よりお言葉を頂きます」
えええええ!?何で国王様まで来てるの?
セルクロッド伯爵のパーティーにだって代理の第一王子しか来なかったのに?
「おほん!それでは儂からは今回の帝国との戦争について説明しておこう。此度の帝国軍の侵略に於いて儂が率いる王国軍は帝国の猛威に危機的状況にあった。帝国の士気は高く、特に帝国の装備は我が国を凌駕するものであった。そこに現れたのが、僅か10歳にもかかわらず、Sランク冒険者となった英雄、マリィ・エイシェルト子爵だったのだ。マリィ・エイシェルト子爵は、帝国軍を僅かの人数で山脈の向こうへと押し戻し、王都に迫った帝国の艦隊を強力な魔法で全てを氷に閉じ込め捕獲し、王都の危機を未然に防いだのだ!」
王様……説明長いよ?
「改めて礼を言わせてくれ。エイシェルト子爵ありがとう!」
物凄い拍手に会場は包まれた。
王様の挨拶が終わると、ついに始まった挨拶の嵐。初めに来たのは金髪碧眼の美少年、第一王子だった。
「二年ぶりだね?私を覚えているか?」
「えっと?」
知ってるよ?第一王子!
「マリィ子爵、おめでとう。私は第一王子のウィリス・エスパーニャだ。陞爵パーティで会ったことあるんだけどな?覚えてないかな?」
「すみません……私、記憶力は良くないので……」
知らない振り、知らない振りよ?攻略対象の第一候補に目をつけられたら堪らない。
「なら、改めて覚えて欲しい。私は第一王子のウィリスだ」
「はぁ……」
「マリィ子爵。実は私は2年前から君の事が気になっていてね……。まだ婚約者も決まっていないんだ。もし良かったら私の婚約者になってみないか?」
えええ!?聖女関係ないの?何で私に来るのよ?
でも、第一王子の婚約者の予定だったライリーちゃんは、私が貰っちゃったからね?
「ごめんなさい」
ライリーちゃんを貰ちゃってごめんなさい。
「そうか……、でも諦めないよ?気が変わったら私の事も考えてくれると嬉しい」
第一王子が必死なのは分かったから……。
やっと第一王子が終わったと思ったら、銀髪碧眼で、これまた美少年の第二王子がやって来た。
「よう!俺は、パーティーってのは苦手でなぁ……別に興味は無かったんだぜ?英雄様の話を聞くまではな……」
第二王子は切れ長の鋭い目で私を睨みつけて来た。私は第二王子はちょっと苦手なタイプだったので逃げようとしたら、壁際まで追い込まれてしまった。
「あの……困ります」
私が拒絶の仕草をしたのに、壁ドンされて逃げられなくなってしまった。
「俺は、第二王子のエクスだ。俺はお前の魔法に興味がある。お前が帝国の艦隊に放った魔法、あれは広範囲極大魔法だろ!?俺は、あの魔法を使える人物を一人しか知らない」
そうか、第二王子って婚約者を作らないキャラだったはずだけど、魔法研究室員だったんだ!?
一人って……絶対大賢者のアマンダお姉さまの事だよね?
「……誰でしょうね?」
私は、第二王子に顎クイまでされてしまった。
「……俺を本気にさせたな?マリィ……後悔すんなよ?」
「くっ……」
ええ!?第二王子の決め台詞!?まさかここで聞くなんて?聞いてないよ?これ第二王子ルート確定?これって攻略完了のフラグじゃないの?
私は第二王子に無理矢理キスされそうになったのを必死に防いだ。
顔が近い!近過ぎだって!
読者様へ
ここまでお読みいただきありがとうございます。
これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。
続きが気になると感じて下さいましたら、
☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。
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