第24話 国王からの報償
王国軍が凱旋したので、私とセルフィーさんは、冒険者ギルドで指定された時間に王城へ登城した。
「遂に城まで来ちゃったけど……大丈夫かなぁ……」
「マリィ様は、帝国との戦いで多くの戦功を上げていますし、さらにSランクの冒険者ともなれば……王国も破格の褒賞を出さないと、他の貴族達にも示しがつかないでしょう」
まぁ……その為に味方の軍に見せ付けるように魔法を使ってたからねぇ……。
特に最後の艦隊に放った魔法は、派手に見せたから当然といえば当然だった。
でも回復魔法だけは見せていない。今回の戦争は、聖女無しで終結させたのも、聖女である事を見せたく無いからだった。
「帝都の方はバレてないよね?」
「問題ないでしょう。帝都は山脈の向こうですし、山脈を超えたとしても、馬車でも一週間以上かかる距離です」
それなら安心だよね?よし、では行くとしますか。
エスパーニャの王城には、ゲーム以外では初めて来るけど、実際に見るとターコイズの城よりも大きかった。ゲームではパッケージにも登場していた白い王城は、とてつもない存在感で私を圧倒させていた。
「大きいなぁ……」
王城では、ゲームみたいに自由に歩き回れる事もなく、某勇者みたいにタンスを物色したり、壺を割ったりする事は出来なかった。
あれはゲームがおかしいのよ?普通タンスを物色したら泥棒だし、壺を割ったら捕まって牢屋入りは間違いない。
なんて考えながら、案内人について行くと……待合室に通された。
「ここで呼ばれるまで、お待ちください」
そうだよね?王様だって忙しい身、すぐに謁見の間とか、王の間とか行ける訳がない。
「緊張するうぅ……」
暫く待っていると、王の間より使いが来て、私は王の間へと案内された。
「入るが良い」
「あ……はい」
王様のいるらしい部屋へと入って行くと、口の上に黒い髭を生やしているけど、まだ若そうな30代くらいの王様が王の机に座っていた。
謁見の間ではなく、書斎のような作りで、ここで執務を行っているのかもしれない。
「其方の名は……マリィと申したな?」
「はい、そうです」
「此度の帝国の侵略戦争に於いて、Sランク冒険者マリィの活躍が特に大きかったと聞いているが、間違いないか?」
すると、そばに控えていた補佐?の人が王様の質問に答えた。
「報告では、そうなっておりますな」
「ふむ、若いな……歳は……な!?十歳だと!?」
「はぁ……」
「その若さで、Sランクというのも驚きであるが、帝国の艦隊を全て鹵獲したと言うのか?」
「そのように、報告を受けております」
「なるほど……まさに其方はこの国を守った英雄という訳であるな?」
「え!?英雄ですか?」
アマンダお姉様も一緒だったんだけど?
「通常ならば冒険者には相応の金貨を支払う事になっておるが、其方の活躍は大きすぎてお金だけでは功績に対する褒美としては家臣にも説明がつかん。よって、其方には叙爵し、爵位を与えることとする」
「ええ!?」
爵位なんて聞いてないんだけど!?
「それでは、陛下目録を」
「マリィよ、まずはSランク冒険者は貴族として扱われる。さらにこれまでの指名依頼の内容から、戦争前の功績により男爵に叙爵とする。さらに今回の功績によって子爵に陞爵する事とする。家名はエイシェルトを名乗るが良い。それと報奨金として白金貨500枚を与える」
家名!?って、ええ!?どうしよう?言わないとまずいよね?
「えっと……実はですね……私の名前はマリィ・セルクロッドと言います」
「ん!?セルクロッド伯爵の娘であったか?」
「はぁ……養女ですが」
「それは、尚更めでたいではないか!」
「はぁ……」
「ならば、こらからはエイシェルト子爵として、セルクロッド伯爵と共に励むと良い」
「陛下……それでは叙爵と陞爵の儀を」
「おお、そうであったな、簡易であるがここには宰相と騎士団長が揃っているので、正式な叙爵となる」
「はい」
王はそう言うと、宰相と言われた人から剣を受け取ると机から立ち上がり、膝をつく私の元へ歩み寄り、剣を私の方に載せた。
これ見た事あるやつだ!?どうするんだっけ!?
「マリィ・エイシェルトよ、其方に子爵の爵位を与える。共にエスパーニャを支える力となれ」
「えっと……我が剣はエスパーニャの為に」
「うむ……さすがはセルクロッド伯爵の子。その年にして立派に叙爵をこなすとはな」
いや……うろ覚えなんですけど!?
それから、セルフィーさんは男爵に叙爵され、二人とも領地を持たない法服貴族として登録される事になった。
セルフィーさんの家名は、無理を言って私と同じにしてもらったので、セルフィー・エイシェルトとなった。
こうして、帝国との戦いの結果、私は子爵となり、セルフィーさんは男爵となってしまった。
読者様へ
ここまでお読みいただきありがとうございます。
これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。
続きが気になると感じて下さいましたら、
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